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コレクション: コレクション2

浪華薬種問屋能書張交帖. 一 - 翻刻

浪華薬種問屋能書張交帖. 一 - ページ 4

ページ: 4

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売弘所 江戸浅草並木町 叶屋吉兵衛 《割書:仙(せん)|伝(てん)》真孫太郎円(まこたらうゑん) 【冒頭の漢文】 山勢㠑嶷水 色蒼茫遊目 聘埋足以徜 詳知是佳処 生物亦良斎 川一虫治 病四方  東原道人題   【印 白文】東【印 朱文】原 【挿絵の説明】 此 図(づ)斎川の風景(ふうけい) にして昔(むかし)源(みなもと)義経(よしつね) 奥州(おうしう)下向の節こゝ かしこ遊覧(ゆうらん)の余(あま)り此地の 景色(けいしよく)凡(ぼん)ならさるを嘆賞(ほうび) し給ふと也よつて今 これを画(ゑかき)て座上(さしやう)の 覧(みもの)に備(そな)ふるのみ 【本文】 夫(それ)孫太郎円(まこたらうえん)の義は往昔(むかし)一(ひとり)の異人(いじん)有て吾祖(わかそ)に来り客居(とうりふ)すること歳(とし)余(あまり)か其 交情(まじはり) 敦睦(あつく)して兄弟の如くす別(わかれ)に臨(のそ)んて懐中(くわいちう)の一 巻(くわん)を出し吾祖(わかそ)に与(あた)へて曰(いはく)此(この)書(しよ)は仙家薬伝(せんかやくでん)の秘(ひ) 決(けつ)にして世と夭札(わかしに)の不幸を済(すく)ひ老彭(なかいき)を致すの一助(いちじよ)たり卿(なんち)よくこれを宝翫(たからと)すへし我は是 源家(げんけ) の郎従(らうしう) 常陸房(ひたちぼう)なり既(すて)に人間(にんけん)の事を棄(す)て仙術(せんしゆつ)を学(まなは)んとするもの也と言尽(ことつ)きて行去(ゆきさ)りぬ 然(しかる)なに此 巻中(まきもの)に小児(せうに)五疳(こかん)【注①】を主(さき)として虚損労減(きよそんらうげん)凡(すべ)て血気不足(けつきふそく)の人に服養(のま)しむる禁方(きんほう)【注②】あり 家祖こゝにおゐて斎川(さいかわ)出産(しゆつさん)の孫太郎虫を附方(ふけん)【「かけん(加減の意)ヵ】することを発明(はつめい)して遂(つい)にこれを製(せい)し得(ゑ)て諸人(しよにん)に 施(ほとこ)すに其 神験(しるし)誠(まこと)に百発(ひやくはつ)百 中(ちう)の良剤(めいほう)にして他薬(たやく)の及ぶ所にあらすと云故に此度 孫太郎円と名つけ始(はじ)めて海内に公(おゝやけ)にするもの也 扨(さて)この孫太郎虫と云は奥州(おうしう)刈田郡(かつたこをり) 斎川 駅(ゑきば)の川より生(せう)する奇虫(めつらしきむし)にして全(まつた)く他所(たしよ)にあらさるもの也若 他産(たさん)の同物(とうふつ)に似(に)たるもの ありといへとも敢(あへ)て取(とる)に足(た)らす因(よつ)て此虫の出産この一区(ひとところ)に止(とゝ)まれは中々 多(おほ)く求(もとむ)ること能(あた)はす 故に斎川の里人(りじん)に謀(はか)り其(その)真品(しやうひん)を尽々(こと〳〵)く買(か)ふて我家に韞匱(いそう)【熟語としての読みは「ウンキ」 注③】し各の仙方 加減(かけん)するもの也  主治(こうのう) 一 男女(なんによ)ともに十五 歳(さい)以下の諸病(しよひやう)を治(ぢ)すること極(きわ)めて神効(しんこう)あり十五歳以上の人は能(よく)虚労(きよらう)血気 不足の症(せう)凡て内損(ないそん)にかゝる病を治す○第一小児五 疳(かん)驚風(きやうふう)の類(るい)夜啼(よなき) 牀尿(よつはり) 欬嗽(せき) 痰喘(せんそく) 盗汗(ねあせ) 泄(はら) 瀉(くたり)或(あるい)は腹脹(はらはり)腹痛(はらいたみ)或は蛔虫(むし)を吐瀉(はきくた)し虫積(さしこみ)癇症(かんせう)客忤(ものおひき)或は寒熱(かんねつ)往来(わうらい) 脱肛(たつこう)或は羸痩(やせおとろい)咽(のんと) 渇(かわ)き或は口渇き痘瘡(とうそう)麻疹(はしか)起脹(はりはた)しかたき時なと惣(そう)して小児 一切(いつさい)の病に用ゆへし○大人は 第一 労症(らうせう)血虚凡て内損のため心下(しんか)留飲(りういん)盗汗 自汗(じかん)或は心怒(はらたち)怔忡(むなさわき)寒熱往来 欬嗽(せき)痰血(たんけつ) 上衝(のぼせ)眩暈(めまい)腹痛(はらいたみ)倦怠(たいくつ)健忘(ものわすれ)等の諸症に用ゆべし但し産前(さんせん)産後(さんこ)には 必(かならす)用へからす其外 指合(さしあい)なし 一 用法(もちいやう)は大人小児ともに一日に一貼(ひとつゝみ)つゝ白湯(さゆ)にて用小児は乳(ち)汁にてもよし但し十五歳以上は三貼を 二日に用ひてよし其 即功(そくこう)一 廻(まは)りにして一生(いつせう)の病根(やまいね)を芟除(たつ)へし 調合所 奥州仙台国分町 東夷斎製    【印】■齋菅原■燈 売弘所      本家 菅原屋仲右衛門 薬代壱貼に付銀壱匁三分 【注① 五つの疳の病。肝風疳。脾食疳。腎急疳。肺気疳。心驚疳をいう。】 【注② 秘伝の調薬方法】 【注③ ひつ(匱)の中にしまっておく。】