翻刻
【右ページ】
一/五疳(ごかん)には芣(おほばこ)の根(ね)葉(は)実(み)ともに黒焼にして味噌(みそ)へ入れまぜ。鰻(うなぎ)のかばやき
に付もちゆべし
○
一/舌胎(せつたい)には昆布(こんぶ)を黒焼にし。紅粉(べに)にてとき付ぬりてよし
○
一/寸白(すばこ)には五八霜(まむし)の黒やきを酒にて呑(のむ)。痛(いたみ)所へも付べし奇妙(きみやう)なり
○
一/疱瘡(ほうそう)には小豆(あづき)。黒豆(くろまめ)。ゑんどうと。甘草(かんさう)少し加へ水にて煎(せんじ)て。毎日(まいにち)此汁を呑(のみ)。
豆をくふ時は妙に疱瘡かるし。ほうそう流行(はやる)とき呑/置(おく)べし。至(いたつ)て軽(かる)し
一ほう瘡の出(で)かねたるには蕗(ふき)のとふの影干(かげぼし)をせんじ呑(のま)すべし。一夜(いちや)のうちに山
あげる事妙なり 一疱瘡はしかの後(のち)。目にさわりある時は。川ゑびを潰(つぶ)し
つゆを取り梨子(なし)のしぼり汁(しる)と等分(とうぶん)にして目にさしてよし
○疱瘡の呪薬(しゆやく)
一/辰砂(しんしや) 《割書:スイヒ》壱匁 一/麝香(じやこう) 五/厘(りん) 一トウゴマ 三十六/粒(つぶ)《割書:カハヲサリテ|ミバカリ》
右の三味五月五日の朝六ッ時三/味(み)の薬を清浄(しやう〴〵)なる板(いた)にて糊(のり)を押(おす)やうに
【左ページ】
トウゴマを竹箆(たけへら)にておして三/味(み)の薬をひとつに交(ま)ぜ。清浄(しやう〴〵)なる器物(いれもの)に入れ
置(おき)。下(した)に記(しる)す絵図(ゑづ)の通り。小児の十三ヶ所(しよ)に筆(ふで)を以て端午(たんご)の午の刻(こく)に
右薬を塗(ぬり)
大サ ◯此(かく)のごとし尤
薬/落(おち)次第也
点(てん)所
一/頭(かしら)上の中(なか)
一/後(うしろ)チリケ 【人体図前面・点所に◦】
一左右手の折目(をりめ)
一/胸(むね)の真中(まんなか)
一左右/脇(わき)の下(した)
一左右/足(あし)の折目《割書:俗にいふ|ひつかゞみ》
一左右/掌(てのひら)の中(なか) 【人体図後面・点所に◦】
一左右/足(あし)の平(ひら)《割書:俗にいう|つちふまず》
右之通り絵図(ゑづ)に合せ塗べし。
一小児壱人に此法を用る時は。薬/拵(こしらへ)候者
つけ候人も壱人也/別人(べつじん)をもちひべからず