翻刻
【右ページ】
右/溺(おぼ)れし人/気(き)の付て後(のち)。冬(ふゆ)は少々/酒(さけ)を温(あたゝ)め吞(のま)し。夏(なつ)は飯(めし)の湯(ゆ)を吞(のま)すべし
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一/大木(たいぼく)或は屋上(いへのうへ)より落(をち)。又は落馬(らくば)にて気絶(きぜつ)したる者には。急(きう)に落(おち)たる者の
口を開(ひら)き小便(しやうべん)をしかけ飲(のま)すべし。惣して高(たか)きより落(おち)。或ひは強(つよ)く身(み)をうち
たる者にも。急(きう)にあたゝかなる小便を用ひ其後(そのゝち)薬を求(もと)め用ゆべし
一又/鯣(するめ)を黒焼(くろやき)にして里芋(さといも)を摺(すり)おろし煉交(ねりまぜ)て怪我(けが)せし所へ塗(ぬり)付べし。即功(そくこう)如神(しんのごとし)
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一/踏(ふみ)くじきには河骨(かうほね)の根(ね)を黒焼(くろやき)にし。蕃椒(とうがらし)の黒焼と当分(とうぶん)に合せ。甘草(かんざう)の
粉(こ)を少しくはへ。速飯(そくいひ)へをし交(まぜ)付べし
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一/疫疾(じえき)の熱(ねつ)発散(はつさん)しかねるには芭蕉(ばせを)の根(ね)をすりおろし絞(しぼ)りて此しぼり汁(しる)を
茶碗(ちやわん)に二三ばい吞(のめ)ば奇妙(きみやう)にねつ発(はつ)し全快(ぜんくわい)に趣(おもむ)く事/疑(うたが)ひなし
一又/茗荷(めうが)の根(ね)をすり絞(しぼ)り汁を用てよし 一又/牛房(ごぼう)を摺(すり)汁を用ひてよし
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一/丹毒療治(はやくさりやうぢ)。それ丹毒の病症(ひやうせう)は。その相(さう)顔(かほ)にあらはる也。最初(さいしよ)に左右の耳(みゝ)
【左ページ】
および頬(ほう)に色/赤(あか)く。又/赤黒(あかくろ)く成(なる)もあり。夫(それ)より咽喉(のど)へむけ其/相(さう)顕(あらは)るゝ
なり或は腹痛(ふくつう)するもあり或は正気(しやうき)を失(うしな)ひたるやうに成も有。腹痛するは
腹(はら)かたく。たとへは石(いし)のごとく又腹やはらかにして腹(はら)に熱(ねつ)あるもあり是は病(やまひ)の軽(けい)
重(ぢう)による也。此病は俄(にはか)に発症(はつせう)し甚(はなはだ)急(きう)なり。尤/余(よ)病に異(こと)にして耳(みゝ)および
頬(ほう)の色を見るを丹毒(はやくさ)第一の見立(みたて)とする也。能(よく)〳〵心を付べし右の相(さう)顕(あらは)れ
丹毒にて是(これ)あらば。左右の腕(うで)のうち臂(ひち)の折(をり)かゞみと。肩(かた)との真中(まんなか)子供(こども)など
の力瘤(ちからこぶ)といふ所へ。とくと口をつけ強(つよ)く吸(すふ)也。是/療治(りゃうぢ)の法(ほう)也。軽(かろ)きは血(ち)出る。
重(おも)きは黒血(くろち)出る二口三口ほどづゝ血出るなり。血の出て止(や)むを期(ご)とす。尤外の病
はしらず。丹毒に右の療治(りやうぢ)をなせば何ほど重き丹毒にても治(ぢ)すること神(しん)
妙(みやう)なり。十四/経(けい)手の大陰肺経(たいゐんはいけい)の図(づ)にていふ時は。雲門(うんもん)尺沢(しやくたく)の間(あひだ)。侠白(きやうはく)といふ
図(づ)の少し内に当(あた)る也。嗚呼(あゝ)宜哉(むべなるかな)。此術(このじゆつ)の妙なること用ひて知るべし
但しはやくさの時/早速(さつそく)右の療治(りやうじ)をなせば治(ぢ)する事/疑(うたが)ひなし。しかし療治(りやうじ)
手おくれに成りては。吸ても血(ち)出ず。その時はひつぱり剃刀(かみそり)にて右のところを
少しはね切(きり)すふてみるべし
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