← 前のページ
ページ 129 / 451
次のページ →
翻刻
云ふことなきを軍用第一(ぐんようだいち)の重宝(ぢうほう)たるものなりとて。時堯(ときたか)にこれを与(あた)へ其(その)秘術(ひじゆつ)薬(やく)
方(ほう)までこと〴〵く伝授(でんじゆ)したりけり。当世(たうせい)に見(み)るところの短筒(たんつゝ)種(たね)か島(しま)と云(いへ)る。鉄砲(てつはう)
は是(これ)なり時堯(ときたか)是(これ)を島津義久(しまつよしひさ)に送(おく)れば。義久(よしひさ)この器(き)をこしらへ将軍家(しやうぐんけ)に
奉(たてまつ)り。其術(そのじゆつ)を根来寺(ねごろし)の杉(すぎ)の坊(ぼう)に伝授(でんじゆ)せしを始(はしめ)としそれより次第(しだい)に妙用(みやうよう)
を工夫(くふう)し来(きた)つて大小(だいしやう)鉄銅(てつどう)の筒(つゝ)は云(いふ)に及(およば)す。火矢筒(ひやつゝ)松樹紙(せうじゆかみ)をもつて張(は)れる
筒(つゝ)までもその術(じゆつ)諸国(しよこく)にくわしく成(な)りぬ。実(まこと)に武用(ぶよう)その技(ぎ)を尽(つく)せる時世(ときよ)とな
るももとより武道(ぶだう)さかんなる我国(わがくに)の風俗(ふうぞく)ゆゑと聞(きこ)えけり。義智(よしとも)又(また)此物(このもの)を
朝鮮(てうせん)へも送(おく)りし故(ゆゑ)彼国(かのくに)始(はじめ)て鉄砲(てつほう)あるを知れりとなり
朝鮮(てうせん)の三使(さんし)来朝(らいてう)の事(こと)
かくて朝鮮国(てうせんこく)の通信使(つうしんし)の三人と宗(そう)対馬守(つしまのかみ)義智(よしとし)【ママ】と桺川調信(やながわしげのぶ)。僧(そう)玄蘇(けんそ)