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コレクション: コレクション1

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - ページ 136

ページ: 136

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秀吉公(ひでよしこう)は憂鬱(ゆううつ)の御意(おんこゝろ)斯(かく)ても慰(なくさ)む事(こと)もありやと。清水寺(せいすいじ)に参詣(さんけい)ありて 彼所(かしこ)に滞留(たうりう)し給ふこと三日までに至(いた)りける。音羽山(おとはやま)の松(まつ)の風(かぜ)瀧(たき)の響(ひゞ)きに音(おと)そふ るに。暁(あかつき)の夢(ゆめ)打(うち)さめ寝(ね)られぬまゝの思(おも)ひより。却(かへつ)て若君(わかぎみ)の哀(あひ)を引出(ひきいだ)す種(たね)とこそ なれ。何(な)に慰(なださ)む意(こゝろ)はなく秀吉公(ひでよしこう)つく〳〵と。寝(ね)られぬ枕(まくら)をそはだてゝ思(おも)ひつゞけ 給ひけるやう。さても往古(いにしへ)より中華(もろこし)の軍兵(ぐんひやう)来(きた)つて。我国(わがくに)を侵(おか)せること幾度(いくたび)と云(いふ) 事(こと)なし。然(しか)れども本朝(ほんてう)より外国(ぐわいこく)を伐(うち)しことは。神功皇后(しんごうくわうごう)の三韓(さんかん)を征伐(せいばつ)し 給ふの外(ほか)。いまだ聞(きか)ざることなり今(いま)我(われ)卑賎(ひせん)の民間(みんかん)より震起(ふるひおこ)り。位(くらゐ)人官(にんくわん)の極(きは)め に至(いた)り六十 州(しう)を掌(たなごゝろ)の中(うち)に握(にぎ)れる身(み)となれば。何(なに)不足(ふそく)の事(こと)もなく一生(いつせう)は憂(うれひ)なき の地(ち)に座(ざ)し。起臥(おきふし)老(おひ)の安身(あんしん)をこそ樂(たのし)むべきと思(おも)ひつる甲斐(かひ)もなく方(まさ)に今(いま)掌中(しやうちう) に珠(たま)くだけては再(ふたゝ)びかへる光(ひかり)なく。枝上(しじやう)に花(はな)散(ちり)て遂(つひ)に栄(さか)ふる色(いろ)を不見(みず)。されば