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の山(やま)も川(かは)もみな我手(わがて)に入(い)れ。功作(こうさく)ある者(もの)どもには意(こゝろ)の如(ごと)く知行(ちぎやう)をも所持(しよぢ)
させん事(こと)は。なんぼうこゝろよき老(おひ)のなぐさみ頃日の鬱朦(うつもう)をはらさんに。此上(このうへ)は
有(ある)べからずとおもひ立(たつ)が故(ゆゑ)。諸老中(しよらうぢう)ともへ申 談(たん)せんため召(めし)よせしなり。おの〳〵は
何(なん)とおもふぞ異見(ゐけん)あらば。遠慮(ゑんりよ)なく申さるべしと上意(じやうゐ)ある。大老(たいらう)の面々(めん〳〵)
より五奉行衆(こぶぎやうしゆう)にいたるまで。おもひもよらぬ珍事(ちんじ)を承(うけ給は)り。当座(たうざ)に何(なん)と御返(ごへん)
荅(たふ)申さんやうなく。アツト計(はかり)にて互(たがひ)に目(め)と目(め)を見合(みやわせ)【語尾衍】せしばらく言葉(ことば)を出(いだ)
す人(ひと)もなし。実(じつ)に數百年来(すひやくねんらひ)日本(につほん)の大乱(たいらん)となつて。東西(とうざい)の国(くに)の終(おはり)まで年(ねん)
々(〳〵)の戦闘(せんとう)に父(ちゝ)に離(はな)れ子(こ)を殺(ころ)し。百 姓(しやう)は賦役(ふやく)にかり立(たて)られ人馬(にんば)非理(ひり)の労(らう)
困(こん)によつて。安(やす)き間(ひま)なき若(く)なりしもやうやく去年(きよねん)の秋(あき)よりこそ。暫(しばら)く大(たい)
平(へい)のきさしを顕(あらは)し。民(たみ)も公家(こうけ)も安楽(あんらく)の気(き)に移(うつ)らんとする時(とき)。又(また)大軍(たいぐん)を