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をかへす者(もの)もなし。秀吉公(ひでよしこう)其夜(そのよ)思案(しあん)し給へけん翌日(よくしつ)則(すなは)ち相国寺(しようこくし)の僧(そう)承兌(しようゑつ)
南禅寺(なんぜんじ)の僧。霊山(れいさん)東福寺(とうふくし)の僧(そう)永哲(えいてつ)等(ら)を促(うなが)して。ともに名護屋(なごや)におもむ
き給ふ。同月(どうげつ)二十六日に秀吉公(ひでよしこう)京(きやう)を出(いで)て備押(そなひおし)あらんとす。京洛(けいらく)の町人(ちやうにん)百姓(ひやくせう)に
至(いた)るまで今日(こんにち)の行装(ぎやうそう)を見物(けんぶつ)すべき旨(むね)。御免(ごめん)あれば其通路(そのつうろ)たる小路(こうぢ)〳〵町家(まちや)
の肆店(みせたな)寺社(じしや)の門外(もんぐわい)。人(ひと)ならずといふ所(ところ)なし天晴(あつはれ)奇代(きたい)の見物(けんふつ)やと。遠国(えんこく)在々(ざい〳〵)
所々(しよ〳〵)よりも親(おや)を携(たづ)さへ。子(こ)を抱(いだ)き京洛(けいらく)の縁(ゑん)【緑は誤】をもとめて相(あひ)集(あつま)る。男女(なんによ)の数(かす)大(おほ)
凡(よそ)二三 万(まん)とそ聞(きこ)えける。
秀吉公(ひでよしこう)所々(しよ〳〵)神社(じんじや)御参詣(ごさんけい)の事(こと)
其夜(そのよ)は秀吉公(ひでよしこう)摂津(つの)国(くに)。茨木(いばらき)に至(いた)りて後(のち)御 ̄ン馬(うま)を進(すゝ)め給ふ。同(おなしく)四月 秀吉公(ひでよしこう)は
安芸(あき)の広島(ひろしま)に到(いた)り着(つか)せ給ひこゝに一 両日(りやうにち)御逗留(ごたうりう)まし〳〵厳島明神(いつくしまみやうしん)に詣(まう)で