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コレクション: コレクション1

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - ページ 176

ページ: 176

翻刻

去程(さるほど)に文禄元年(ふんろくぐわんねん)三月の初(はじ)め。日本(につほん)の諸将(しよしやう)は朝鮮国(てうせんごく)へ押渡(おしわた)らんとて。同(おなしく) 十二日 名護屋(なごや)をは辰(たつ)の刻(こく)に船出(ふなで)の約速(やくそく)相(あひ)きわめたり。すでに其日(そのひ)になししか ば小西摂津守(こにしつのかみ)をはじめとして。其外(そのほか)諸手(もろて)の大船(たいせん)ども組手(くみで)にしたがひ其列(そのれつ)を 相追(あひお)ふて。纜(ともつな)をとき数船艘(すせんざう)の帆柱(ほばしら)を押立(おした)て帆(ほ)をあぐる声(こゑ)のすさまじきに。 諸手(もろて)の船(ふね)より放(はな)しかくる石火矢(いしびや)のひゞきは。只(たゞ)百千(ひやくせん)の雲雷(うんらい)の一度(いちど)に落(おち)かゝる如(ごと) くなり。既(すで)に湊(みなと)を漕(こぎ)はなれ蒼海(さうかい)の浪路(なみぢ)はるかに漂々(びやう〳〵)と。前後(ぜんご)左右(さいふ)を見渡(みわた) せばさま〴〵の船印(ふなしるし)に。家々(いへ〳〵)の紋付(もんつき)たる旌旗(せいき)【方+星は誤】風(かせ)にひるがへり。幔幕(まんまく)浪(なみ)を照(てら)し ては吉野(よしの)龍田(たつた)の花(はな)紅葉(もみぢ)をさながら水(みづ)に浸(ひた)すが如(ごと)し。渡(わた)らば錦(にしき)の中(なか)やたえな んと読(よみ)たりし流(ながれ)の末(すへ)の海(うみ)に入(い)るやと異(あやし)まる。かくて順風(しゆんふう)にまかせけるまゝに 壱岐国(いきのくに)風本(かざもと)といふ所(ところ)まで。時刻(じこく)を移(うつ)さず押付(おしつけ)。夫(それ)より多(おほ)くの船(ふね)を揃(そろ)へ