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へかけて力(ちから)にまかせて手(た)ぐり寄(よせ)。大太刀(おほだち)を振(ふり)かざし敵兵(てきへい)二人を海中(かいちう)へ切(きつ)て
おとし。其まゝ敵船(てきせん)へ飛乗(とびのり)当(あた)るを幸(さいわ)ひ切廻(きりまは)る。左馬助(さまのすけ)は是(これ)を見て直(なを)
行(ゆき)打(うた)すなつゞけ〳〵と。自(みづか)ら水主(すゐしゆ)をしかりつけ無二無三(むにむさん)に敵船(てきせん)へ乗(のり)かけ
すでに向(むか)ふへ飛越(とひこえ)んとす。左馬助(さまのすけ)が同船(とうせん)に有(あり)つる小扈從(ここしやう)。主(しゆう)を討(うた)せて
は叶(かな)ふまじと。左馬助(さまのすけ)が脇(わき)の下(した)をつゝとぬけ。敵船(てきせん)へ乗(のり)うつる心(こゝろ)は剛(がう)に見へ
つれども。待設(まちまう)けたる敵(てき)の中(なか)へ飛込(とびこむ)に何(なに)かはもつてたまるべき。やかて爰(こゝ)
にて討(うた)れける。左馬助(さまのすけ)是(これ)を見(み)るより南無三宝(なむさんばう)といふまゝに。鎗(やり)おつとり
朝鮮船(てうせんふね)へ乗込(のりこみ)左右(さいふ)に当(あた)り火花(ひばな)を散(ちら)して戦(たゝか)ひば。姪(おひ)の権七(ごんしち)つゞいて駈入(かけいり)
伯父(おぢ)と姪(おひ)と二人つれ。前後(ぜんご)に敵(てき)をとりて乱戦(らんせん)す。主人(しゆじん)先(さき)だつて如此(かくのごとく)に働(はたら)く
を見(み)るより其手(そのて)の兵士(へいし)誰(たれ)か一人 臆(おく)すべき。我先(われさき)にと乗入(のりいり)〳〵斬(き)るをも突(つく)