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をも少(すこ)しもひるまず。我先(われさき)にと敵船(てきせん)に取付(とりつき)おもひ〳〵に戦(たゝか)ひ乗入(のりいれ)ば。朝鮮(てうせん)の
兵(へい)防(ふせ)ぎかねて十 艘(そう)ばかり乗取(のつと)られ。残(のこ)る三十 艘(さう)は舳艫(ちくろ)を回(かへ)し後陣(ごぢん)の
同勢(どうぜい)へ逃入(にけいつ)たり。後(あと)に残(のこ)りし日本(につほん)の諸大将(しよだいしやう)左馬助(さまのすけ)にだしぬかれ。無念(むねん)に
おもひ我(われ)も〳〵と手船(てふね)に乗(のり)我(われ)よ人(ひと)よと罵(のゝし)る声(こゑ)。おびたゞしく左馬助(さまのすけ)は
乗取(のつとつ)たる番船(ばんせん)に。大綱(おほづな)をつけて十 艘(そう)ばかりの船(ふね)を漕戻(こぎもど)させける。諸大将(しよたい)
将(しやう)是(これ)を見(み)ていよ〳〵気(き)をもみ。一 同(よう)に水主(かこ)をはげまし朝鮮勢(てうせんせい)数百艘(すひやくそう)にて
ひかへたるを乗取(のつと)るべしとて船(ふね)をはやめ波(なみ)おし切(きつ)て押寄(おしよす)る。脇坂中務安(わきさかなかつかさやす)
治(はる)久留島出雲守(くるしまいつものかみ)。戸田民部少輔(とだみんふしやうゆう)。藤堂佐渡守高虎(とう〴〵さどのかみたかとら)。蜂須賀阿波守(はちすかあはのかみ)
が輩(ともがら)真一文字(まいちもんじ)に押(おし)かゝる。左馬助(さまのすけ)は元来(ぐわんらい)藤堂(とう〳〵)脇坂(わきざか)とその中(なか)不和(ふわ)なる
事故(ことゆゑ)。評議(ひやうぎ)の時(とき)も口論(こうろん)せし事(こと)なれば。今(いま)諸大将(しよだいしやう)の見(み)る前(まへ)にて脇坂(わきさか)等(ら)に