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勝(まさ)る功名(こうみやう)を顕(あら)さんと。第一(だいゝち)ばんに乗浮(のりうか)べたる番船(ばんせん)へ一 文字(もんじ)に押(おし)かゝる。朝鮮勢(てうせんせい)
は先刻(さき)の敗軍(はいぐん)を憤(いきどほ)りて居(ゐ)たる事(こと)なれば。左馬助(さまのすけ)が船(ふね)を乗取(のつと)らんと相(あい)かゝり
に漕向(こぎむか)ふ。弓(ゆみ)鉄砲(てつはう)にて射立(ゐたつ)る事(こと)さながら雨(あめ)の如(ごと)し。左馬助(さまのすけ)怒(いか)り罵(のゝし)り船(ふね)
をおしへけける時(とき)。萩作左衛門(はぎさくざゑもん)打(うち)かぎを以(もつ)て引(ひつ)かけて乗入(のりい)らんとなしけれ
ども。敵兵(てきへい)是(これ)を切拂(きりはら)ふて半弓(はんきう)を射(ゐ)かけしかは。矢(や)二 筋(すぢ)三 筋(すぢ)あたつて其身(そのみ)自(じ)
由(ゆう)ならず。左馬助(さまのすけ)も抜(ぬけ)がげ【ママ】の若殿原(わかとのばら)を止(と)める体(てい)にて乗出(のりいだ)したる事(こと)なれば。
帷子(かたひら)一 重(え)に渋手拭(しふてぬぐひ)にて鉢巻(はちまき)したるばかりなれば。矢(や)三 筋(すぢ)あたつて船(ふな)はだを
踏(ふみ)はづし海(うみ)へ落入(おちいり)けるが元(もと)より早業(はやわざ)にて落(おち)さまに。船(ふね)の艗(へさき)へ取(とり)つき浮(うき)ぬ
しづみぬたゞよふところを。作左衛門(さくざゑもん)左馬助(さまのすけ)が帯(おび)をつかんで船中(せんちう)へ引上置(ひきあげお)き。
敵船(てきせん)へ飛(とび)こみ一 番乗(ばんのり)萩作左衛門(はぎさくざゑもん)と名乗(なのり)ける。左馬助(さまのすけ)起上(おきあが)りもの〳〵しや