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加藤清正(かとうきよまさ)小西行長(こにしゆきなか)先陣(せんちん)を争(あらそ)ふ事(こと)
偖(さて)も日本(につほん)の諸将(しよしやう)は忠州(ちくしう)に会(くわい)して。是(これ)より朝鮮(てうせん)の都(みやこ)へ責入(せめいる)べき評議(ひやうき)なし
ける時(とき)清正(きよまさ)進(すゝ)み出(いで)て是(これ)より以後(いご)我(われ)必(かなら)ず先陣(せんちん)たらんといふ。行長(ゆきなが)あざ笑(わら)いて云(いふ)
朝鮮國(てうせんこく)の先陣(せんぢん)は巳(すで)に。日本(につほん)にて大将軍(たいしやうぐん)秀吉公(ひでよしこう)の御 定(さだめ)にて我等(われら)是(これ)を承(うけ給は)るとこ
ろなり今(いま)若(もし)私(わたくし)にこれを改(あらた)めんとせば秀吉公(ひてよしこう)の御 掟(おきて)を破(やぶ)るに同(おな)じ。我(われ)決(けつ)して相(あひ)
したがふ事(こと)を得(え)ずといふ。清正(きよまさ)重(かさ)ねて云(いふ)法令(はうれい)たとへ然(しか)りと云(い)ふとも。惟(こゝ)前陣(せんぢん)は
その武勇次第(ぶゆうしだい)に任(にん)ずべきか。行長(ゆきなが)怒(いか)つてまさなや清正(きよまさ)我(われ)と汝(なんぢ)と武勇(ふゆう)に於(おゐ)て
何(なん)ぞ劣(おと)るべき。此度(このたび)の先陣(せんちん)汝(なんぢ)が云(いふ)ところの武勇(ぶゆう)によつてなすならば。なして見(み)
給へと既(すで)に両将(りやうしやう)眼(まなこ)の色(いろ)かはつて憤気(ふんき)をなす。両手(りやうて)の諸士(しよし)左右(さいふ)に詰(つめ)よせ下知(げぢ)
あらば討(うつ)てかゝらんと。拳(こぶし)を握(にぎ)り手(て)ぐすね引(ひい)て眼(まなこ)をくばりて待(まち)かけたり。すはや