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近(ちか)きをもつて意(こゝろ)とし。半日(はんにち)なりとも王城(わうじやう)を人(ひと)より先(さき)に乗取(のつとる)べき量見(りやうけん)
なるに。おもひの外(ほか)の行路(こうろ)の難(なん)にてすゝみがたきゆゑに大(おほい)にその意(こゝろ)せはしく
なり先手(さきて)の兵(へい)に下知(げぢ)して近辺(きんへん)の在家(ざいけ)に込入(こみいり)。民家(みんか)をこぼち宦舎(くわんしや)を
破(やふ)り。材木(ざいもく)葺茅(ふきかや)をあつめからげて大筏(おほいかだ)に組(くま)せ天晴(あつはれ)早(はや)き渡(わた)りの具(く)と我(われ)
先(さき)にと打乗(うちの)り中流(ちうりう)に漕出(こぎいだ)すところに。おもひの外(ほか)に水勢(みつせい)つよくしていまだ半(なかは)
ばも渡(わた)らざるに。尽々(こと〳〵)く水(みつ)のために押(おし)きられ一ツの筏(いかだ)に乗(のつ)たる兵士(へいし)数十人(すじふにん)
河伯(かはく)の厨(くりや)を富(とま)しけるは是非(ぜひ)なかりける事(こと)どもなり。已(すで)に敵(てき)の筏(いかだ)にて渡(わた)
りをなすと見(み)るより北岸(ほくがん)より射出(ゐいだ)す矢(や)はさながら雨(あめ)より猶(なほ)繁(しけ)ければ
とても漫(みだ)りに渡(わた)りをなすこと叶(かな)ふべからずと。残(のこ)れる筏(いかだ)を引(ひき)かへし其日(そのひ)
はこゝにむなしき日(ひ)をぞ費(ついや)しける。かゝる処(ところ)に江原道(こうけんたい)の巡察使(しゆんさつし)より。羽(う)