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はり敵中(てきちう)へ馳入(はせいり)両勇士(りやうゆうし)四方(しはう)へ当(あた)りて戦(たゝ)かひば。此(この)二人が太刀先(たちさき)に向(むか)ふ者(もの)一人と
して。命(いのち)をたもつ者(もの)なく討(うた)れければ。朝鮮勢(てうせんぜい)忽(たちま)ち崩(くづ)れて散乱(さんらん)す。利統制(りとうせい)
も叶(かな)はざることを擦(さつ)し。元(もと)の陣所(ぢんしよ)へ引退(ひきしりぞ)く。此時(このとき)黒田長政(くろだなかまさ)なかりせば。
今日(こんにち)の軍(いくさ)難義(なんぎ)なるべかりしを。長政(なかまさ)利統制(りとうせい)を追退(おひしりぞ)けしは天晴(あつはれ)の働(はたら)き
なり。かくて行長(ゆきなが)諸将(しよしやう)を会(くわい)して評議(ひやうぎ)なして利統制(りとうせい)を討(うつ)て後(のち)兵(へい)を進(すゝ)
めんと有(あり)ける故(ゆゑ)。諸将(しよしやう)もしかるべしとて其(その)用意(ようゐ)をなしけるに。利統制(りとうせい)は其日(そのひ)
兵(へい)を引(ひい)て李㫟(りえん)のおはします。平壌(へくしやく)の地(ち)へ引退(ひきしりぞ)くゆへ平安道(へいあんたい)の路(みち)ひらけ
たり。されども開城府川(かせんふかは)に大(おほい)なる番船(ばんせん)数十艘(すしつさう)有(あり)しかば先(まづ)これを攻取(せめとる)べし
と有(あり)ける時(とき)。黒田長政(くろだながまさ)云(いひ)けるは今日(こんにち)の戦(たゝか)ひに。敵(てき)に一しほつけ候得ば某(それがし)が兵士(へいし)を
つかはし。其(その)番船(ばんせん)を乗取(のつとる)べしとて即時(そくじ)に村上彦右衛門義清(むらかみひこゑもんよしきよ)。衣笠久右衛(きぬがさきうゑ)