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に放(はな)ちかくるに。克諴(こくかん)が軍兵櫛(ぐんひやうくし)の歯(は)をならべたるやうに立(たて)つらなりたる中(なか)へ。
つるへ打(うち)にこめかへ〳〵放(はな)ちかくれは。何(なに)かはもつてたまるべき一ツの玉(たま)にて五人三人
打斃(うちたふ)す。克諴(こくかん)が兵(へい)乱(みた)れ立(たつ)て敗走(はいそう)す克諴(こくかん)はやう〳〵兵(へい)を収(おさ)めて。軍(ぐん)を退(しりそ)け嶺(れい)
上(しやう)に屯(たむろ)をなす。すてに其夜(そのよ)も明(あけ)なんとする時(とき)に。再(ふたゝ)び備(そな)ひを立(たて)更(さら)に雌雄(しゆう)を
決(けつ)せんとしたりける。清正(きよまさ)はその夜(よ)深更(しんかう)におよんで潜(ひそか)に。木村又蔵(きむらまたぞう)。井上大(いのうへたい)
九朗(くらう)の両人(りやうにん)に兵(へい)をそへ。克諴(こくかん)が陣取(ぢんどり)し山(やま)の麓(ふもと)につかはし。草間(さうかん)に伏兵(ふくへい)を
置(おき)たりけり。今朝(けさ)はことに山間(やまあひ)の霧(きり)ふかく。物(もの)の色目(いろめ)も見(み)えざりけり克諴(こくかん)
が兵(へい)は。是(これ)をばしらず日本勢(につほんぜい)は猶山(なほやま)を隔(へだ)てゝ。倉(くら)の辺(ほとり)にのみ陣(ぢん)せりと
油断(ゆたん)して押出(おしいた)しけるところに。忽(たちま)ち響(ひゞ)く砲(はう)の音(おと)四面(しめん)より打立(うちたつ)て。大(おほい)に
叫(さけ)んで突出(つきいづ)る。克諴(こくかん)が兵(へい)大(おほい)におどろき此勢(このいきほ)ひに劈易(へきゑき)し。右往左往(うおうさおう)に