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コレクション: コレクション1

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - ページ 336

ページ: 336

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海(かい)に人(ひと)ならぬところもなし。かくて取集(とりあつ)めたるところの漁蝦(きよか)海物(かいぶつ)浜砂(すなご)の上(うへ)に 引上(ひきあげ)たれば。溌活(おどりはね)ては沫(あは)を噴(は)き喁(くちさし)つとふ鱗(うろくず)共(ども)見(み)なれぬ鬐尾(はたひれ)の。数(かず)をつくし て恰(あたか)も阜山(おかやま)の如(ごと)く積上(つみあげ)たるは。何(なに)にたぐへんやうもなく目(め)をおどろかす有(あり)さまなり。 第一(だいゝち)に大(おほい)なる赤鯛(あかたい)一千 尾(び)をゑらみて。是(これ)を塩(しを)に淹(ひた)し早飛脚(はやびきやく)をもつて禁中(きんちう) に献上(けんじやう)ある。其外(そのほか)は大庁所(おほまんところ)を始(はじ)めとし親王(しんわう)公家(くげ)の所々(ところ〳〵)まで。不残(のこらず)贈(おく)り賜(たまは)り けり。その余(よ)は在陣(ざいぢん)の大名(だいみやう)より以下(いか)の軍兵(ぐんひやう)。諸士(しよし)の族(ともがら)に至(いた)るまで意(こゝろ)にまかせて 食(しよく)せしむ。さればにやさしもに広(ひろ)き仮屋(かりや)〳〵に居(ゐ)あまつて。木(き)の陰(かけ)岩(いわ)の上(うへ)までも 人(ひと)ならずと云(いふ)所(ところ)もなく。おもひ〳〵に料理(れうり)して膾(なます)灸(あぶりもの)炰煎(つゝみやき)品(しな)をつくし。調味(てうみ)せ ずといふことなし。呉江(ごこう)の鱸(すゞき)丙穴(へいいけつ)の鮮味(うをのあぢ)といふとも。此外(このほか)はあるべからずとて各々(おの〳〵) 歓喜(くわんぎ)の興(きやう)を催(もよほ)し。諸将(しよしやう)以下(いか)の士卒(しそつ)まで在陣(ざいぢん)のおもひを忘(わす)るれば。君恩(くんおん)の辱(かたじけ)