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大臣(たいじん)も適(たま〳〵)来(きた)つて陣中(ぢんちう)に在(あ)りけるが。かゝる有(あり)さまを見(み)るよりも大(おほい)に驚(おどろ)き。馬(うま)に打乗(うちのり)
走(はし)り行(ゆく)を軍兵(くんびやう)どもは。只(たゝ)金命元(きんめいけん)が走(はし)るぞと見(み)るより元帥(げんずゐ)すでに走(はし)り給ふに。
みな〳〵逃(にげ)よといふを聞(きく)より朝鮮勢(てうせんぜい)。誰(たれ)か一人とゝまるべき我先(われさき)にと散乱(さんらん)し
ければ。金命元(きんめいけん)応寅(おうゐん)も今(いま)は是(これ)までなりと。是非(ぜひ)なく朝鮮王(てうせんわう)の行在所(あんざいしよ)をさして
走(はし)りける。又(また)京畿監司(けいきかんし)権徴(けんてう)は加平郡(かへいくん)に入(いつ)て乱(らん)を避(さ)けたり。日本(につほん)の軍将(ぐんしやう)こゝに
おゐて勝(かつ)に乗(のり)西(にし)の方(かた)に下(くだ)り伐(うつ)。その勢(いきほ)ひまことにもつて竹(たけ)をわるが如(こと)くに見(み)へにける。
李鎰(りいつ)行在所(あんざいしよ)に到(いた)る事(こと)
扨(さて)また李鎰(りいつ)は忠州(ちくしう)に有(あり)けるに。日本勢(につほんぜい)のために忠州(ちくしう)の軍(いくさ)破(やぶ)れければ。是非(ぜひ)なく江(え)を
渡(わた)り江原(こうけん)の堺(さかひ)に到(いた)り。其(それ)より道(みち)を転(めぐ)りて行在所(あんざいしよ)に至(いた)りける。此時(このとき)朝鮮(てうせん)の諸将(しよしやう)
どもみな〳〵南方(なんばう)に馳向(はせむか)つて敵(てき)を防(ふせ)ぎたりけるに。或(あるひ)は討(うた)れあるひは又(また)逃(のが)れ走(はし)