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コレクション: コレクション1

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - ページ 344

ページ: 344

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り今(いま)は一 人(にん)として御 ̄ン駕(かこ)に相(あひ)したがふの者(もの)なかりしに日本(につぼん)の兵将(へいしやう)は日々(ひゞ)に盛(さか)んにして 今(いま)にも押寄(おしよせ)なんと。譟動(さうどう)するの折(をり)なりければ人心(しんしん)まさに驚(おどろ)きおそれ。頼(たの)みなき 折(をり)に当(あた)り李鎰(りいつ)がこゝにかへり至(いた)るに。李鎰(りいつ)はもとより武将(ぶしやう)の中(なか)にも重名(おもきな)のある 者(もの)なる故(ゆゑ)。破(やぶ)れ奔(はしり)し後(のち)とはいへども人々(ひと〳〵)そのかへり来(きた)ると聞(きく)よりも。忽(たちま)ちに意(こゝろ)つ よくなりみな〳〵大(おほい)に歓(よろこ)びける。李鎰(りいつ)しば〳〵軍(いくさ)に打負(うちまけ)て逃奔(とうほん)したりし其後(そのゝち) は。昼(ひる)は荊棘(けいきよく)の中(なか)にかくれて倭人(わじん)の多(おほ)き目(め)をふせぎ。捕(とら)へられじと忍路(しのびぢ)の風雨(ふうう)を 凌(しの)ぐ便(たより)に。平涼子(けかし)一ツを頭(かうべ)に戴(いたゝ)き身(み)には白布(はくふ)の衫(ころも)を着(ちやく)し。草履(くさのくつ)の穿(かけ)たるを やう〳〵に足(あし)に著(つ)け。形容(けいよう)憔悴(しやうすゐ)せる有(あり)さまにてやう〳〵に。敵中(てきちう)多(おほ)くの艱難(かんなん)を逃(のが)れ 来(きた)る物(もの)がたりを、涙(なみた)ながらに語(かた)るを聞者(きくもの)嘆息(たんそく)し。まことに此比(このころ)は君(きみ)一人より民(たみ)百 姓(しやう)まで。身(み)の変改(へんかい)の憂(うれ)ひにあふ定(さた)めなき世(よ)のならひかなと。打驚(うちおどろ)かぬ人(ひと)もなし柳(りう)