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遼東(れうとう)の李時孳(りじじ)朝鮮(てうせん)を窺見(うかゝひみ)る事(こと)
大明(たいみん)遼東(れうとう)の都司官(としくわん)李時孳(りじじ)は。朝鮮王(てうせんわう)倭国(わこく)の難(なん)をうくる事(こと)既(すで)に急(きふ)也(なり)
と聞(きこ)えけれども。いまだ大明(たいみん)の朝廷(てうてい)より兵(へい)を出(いだ)すべきの。命令(めいれい)の到(いた)らざれども
朝鮮国(てうせんこく)よりは。天朝(たんてう)の援兵(ゑんへい)を乞(こふ)ことしきりにして。又(また)遼東(れうとう)へもこの事(こと)を
急々(きふ〳〵)になげき告報(つけはう)ずること。数度(すど)におよべど大明(たいみん)の命令(めいれい)もなくては。兵(へい)を出(いだ)す
ことかなはねば。兼(かね)てその仕度(したく)をば調(とゝの)へおきて。その一 左右(さう)を待(まち)たりけるがそれに就(つき)
ては。先立(さきたつ)て日本人(につほんじん)の情(じやう)をも捜(さぐ)り見(み)。戦(たゝか)ひの虚実(きよじつ)をも計(はか)りしるべきためぞと
て。鎮撫官(ちんぶくわん)林世禄(りんせいろく)といへる者(もの)をして平壌城(へくしやくじやう)へつかはして。朝鮮(てうせん)の君臣(くんしん)の動静(どうせい)
を窺(うかゞ)はしむ。朝鮮国(てうせんこく)李㫟(りえん)はいそぎ林世禄(りんせいろく)を。大同館(だいどうくわん)にこれをむかへて早速(さつそく)
対面(たいめん)ある。此時(このとき)に柳成龍(りうせいりやう)は去(さん)ぬる五月よりして。左承相(さしやう〳〵)の官(くわん)をやめられたり