← 前のページ
ページ 387 / 451
次のページ →
翻刻
数(ず)を出(いだ)し給ひて。また九 里(り)の道(みち)を駈着(はせつき)給はり。往返(おうへん)十八 里(り)の道(みち)を馳(はせ)る間(ま)もあれば時(じ)
刻(こく)うつりて。なか〳〵合戦(かつせん)の間(ま)に合(あひ) 申さゞれば右(みぎ)の如(ごと)く申上しなりと云(いひ)けれは。長政(ながまさ)を始(はじ)
め将卒(しやうそつ)ともにみな感涙(かんるい)をながしける。此度(このたび)の戦(たゝか)ひに栗山(くりやま)が家人(げにん)。山本甚太夫(やまもとぢんたいふ)。津(つ)
田才蔵(ださいざう)栗山甚太郎(くりやまぢんたらう)。池田久兵衛(いけだきうべゑ)。などをはじめ十二三人 多(おほ)くの敵(てき)を討取(うちとり)。手柄(てがら)を
なす後藤又兵衛(ごとうまたべゑ)が家人(げにん)にも。古沢(ふるさは)。金馬(かなま)。等(とう)八九人も高名(かうみやう)をなしければ。それ〳〵
に褒美(ほうび)を与(あた)へられて。その軍労(ぐんらう)をなぐさめられける。
小早川隆景(こはやかはたかゝげ)晋州城(しんしうじやう)をかこむ事(こと)
爰(こゝ)に又(また)小早川隆景(こはやかはたかゝげ)は。朝鮮(てうせん)の王城(わうじやう)に入(いつ)て諸将(しよしやう)と会(くわい)し。評定(ひやうちやう)の上(うへ)平壌(へくしやく)へ打入(うちい)らん
と其(その)用意(ようい)なしける時(とき)。晋州(しんしう)へ籠(こも)りたる王僧林(わうそうりん)多(おほ)くの兵(へい)を集(あつ)め。釜山浦(ふさんかい)の日本(につほん)
勢(せい)を攻(せめ)んとするよし聞(きこ)へければ。さらば先(まづ)晋州城(しんしうじやう)を責(せむ)べしとて。総大将(そうたいしやう)【惣】毛(もう)