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て引退(ひきしりぞ)き開城府(かせんふ)へ至(いた)りて戸田(とだ)と入(いり)かはり。此所(このところ)を守(まも)りて近辺(きんへん)の一 揆(き)をしつめて
武威(ぶゐ)をふるはれける。
行長(ゆきなが)書(しよ)を朝鮮王(てうさんわう)におくる事(こと)
小西摂津守行長(こにしつのかみゆきなが)は数度(すど)の軍功(くんこう)を著(あらは)すといへども。王子(わうじ)を捕(とら)へざる事(こと)に
おゐて甚(はなは)だもつて恨(うら)みとせり。此(この)ゆゑに清正(きよまさ)と其間(そのあひだ)むつましからず。遂(つゐ)に心(こゝろ)の
隙(ひま)をなす。まことに古(いにしへ)より両雄(りやうゆう)はかならず争(あらそ)ふならい有(あり)と云置(いひおき)しは。さる事(こと)
と聞(きこ)へけり。行長(ゆきなが)もすでに平壌(へくしやく)の境内(きやうだい)に打入(うちい)り。兵共(つはもの)をしはらく屯(たむろ)し止(とゝ)めたる
に。大明(たいみん)の援兵(ゑんへい)の来(きた)れる事(こと)も近(ちか)きにありと風聞(ふうぶん)すれば。大明(たいみん)の兵(へい)来(きた)るにおゐて
は一 戦(せん)に功(こう)を成就(じやうじゆ)するが。または奮(ふる)ひ戦(たゝか)つて討死(うちじに)し。残(のこ)る名(な)を千古(せんこ)に留(とゞむ)るかの
此(この)二のものにおゐて。其運命(そのうんめい)を極(きわ)めんとおもひ定(さだ)めて。人(ひと)を王城(わうじやう)につかはし諸(しよ)