← 前のページ
ページ 409 / 451
次のページ →
翻刻
鮮國(せんこく)の大将共(たいしやふども)の並居(なみゐ)たるを見(み)て。惟者(たゞもの)ならずとやおもひけん鳥鋭(てつほう)【銃の誤ヵ】を小脇(こわき)に
かひこみ。邪睨(ながしめ)に楼上(らうしやう)を見(み)上たるが少(すこ)し町間(てうけん)の延(のび)たりとや計(はか)りけん。沙渚(すさき)の上(うへ)
に進(すゝ)みよりて引金(ひきかね)を切(きつ)て放(はな)せば。何(なに)かはもつてたまるべき亭上(ていしやう)に座(ざ)したりし。二
人の官(くわん)人を打仆(うちたふ)す。是(これ)二ツ丸(たま)とはしられけるされども其(その)丁間(てうけん)の遠(とほ)き故(ゆゑ)を以(もつ)て
傷(きづさき)やふるとはいへども薄(うす)き疵(きづ)なれば死(し)におよばず。諸(もろ〳〵)の官(くわん)人ども大(おふい)に色(いろ)を失(うしな)
ひしが。中にも柳成龍(りうせいりやう)は軍官(ぐんくわん)の姜士益(きやうしえき)といふ者(もの)。強弓(つよゆみ)の男(おとこ)なるを早(はや)く下知(げじ)
して。防牌(もちだて)の陰(かげ)より射(い)させける。元来(ぐわんらい)手だれの精兵(せいへい)なるゆゑ。射(い)出すところ
の二三 箭(せん)沙上(しやしやう)遥(はるか)に絃音(つるおと)して並(なら)び居たりし小西(こにし)が兵の中にも大 筒(つゝ)をかゝへ
たる兵(へい)をやにはに撞(どう)と射仆(いたふ)したれば。残(のこ)りの兵士(へいし)とも不覚(ふかく)とやおもひけん。皆(みな)々
東岸(とうがん)にかけ上(あか)る。金元帥(きんけんすゐ)は是(これ)を見(み)るより弓(ゆみ)をよく射(いる)兵(へい)を選(えら)み出(いだ)し。船(ふね)に