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かけ博川(はくせん)を過(すぎ)給ふと聞(きこ)ゆる故(ゆゑ)。柳成龍(りうせいりやう)も馬(うま)を急(いそ)がせ馳(はせ)ける程(ほど)に。やう〳〵博川(はくせん)
に到(いた)り著(つ)く。李㫟(りえん)は時(とき)に柳成龍(りうせいりやう)を召(めし)見(まみ)へて。平壌(へくしやく)府城(ふしやう)その守備(しゆび)何(なに)とか有(あ)ら
んと問(とは)はれければ。成龍(せいりやう)荅(こた)へて人心(じんしん)頗(すこぶ)る一 図(づ)に固(かた)し。其(その)城(しろ)守(まも)るべきに似(に)たるが
但(たゝ)し援兵(ゑんへい)なくんばかなふまじ。此故(このゆゑ)臣(しん)今(いま)こゝに来(きた)り天兵(てんへい)を。一 時(じ)も早(はや)く迎(むか)ひ
速(すみやか)に馳(は)せて。平壌(へくしやく)を援(すく)はんと存(ぞん)ずるに。今(いま)に天兵(てんへい)の至(いた)るを見(み)ざるこそ此(これ)を以(もつ)て
憂(うれひ)となし申なりと奏(さう)すれば。李㫟(りえん)は即(すなは)ち平壌(へくしやく)の守将(しゆしやう)。尹斗壽(いんとじゆ)が方(かた)より来(きた)
るところの状(じやう)を取出(とりいだし)。柳成龍(りうせいりやう)に示(しめ)して昨日(きのふ)すでに平壌(へくしやく)の城中(じやうちう)より。老弱(らうじやく)の輩(ともから)
をばこと〳〵く出(いだ)して落(おと)したりといへり。是(これ)人心(じんしん)の動揺(どうえう)するにあらざんや。
しかるに汝(なんぢ)何(なに)を以(もつ)てよく守(まも)らんとは云(い)へるぞや。成龍(せいりやう)荅(こた)へて此状(このじやう)を見(み)る時(とき)は誠(まこと)
に聖慮(せいりよ)の如(ごと)くなり。併(しかしなが)ら臣(しん)が彼城(かのしろ)に有時(あるとき)は。かゝる事(こと)いまた候(そうら)はず。大概(だいがい)其趣(そのおもむ)