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さるの折(をり)なれば御 ̄ン供(とも)に参(まゐ)る大臣(だいじん)もなかりけり。惟(たゞ)鄭徹(ていてつ)一人御 ̄ン駕(が)に供奉(ぐぶ)して
すでに嘉山(かさん)を出(いづ)る時(とき)は。五更(ごかう)の比(ころ)と聞(きこ)へける車駕(しやが)は定洲(ていしう)に至(いた)り。しばらくこゝの
旅館(りやくわん)に次(やど)りて御座(おはしま)すこそ哀(あは)れなりける有(あり)さまなり。
柳成龍(りうせいりやう)粮米(らうまい)を防(ふせ)く事(ごと)
御 ̄ン駕(が)始(はじめ)て平壌(へくしやく)を出(いで)給ふより。人心(じんしん)こと〳〵く崩(くづ)れやぶれ所々(しよ〳〵)の国民(こくみん)乱(らん)をなし。
倉庫(さうこ)に入(いり)ては穀物(こくもつ)を奪(うば)ひ掠(かす)むれば。順安(じゆんあん)肅川(しくせん)安州(あんしう)寧辺(ねいへん)博川(はくせん)等(ら)の地(ち)に至(いた)
るまで。次第(しだい)にみな責破(せめやぶ)る御 ̄ン駕(が)のすでに嘉山(かさん)を発(はつ)するにおよびて。郡主(ぐんしゆ)沈信(ちんしん)
謙(けん)は柳成龍(りうせいりやう)に博川(はくせん)に会(くわい)して云(いふ)。此郡(このぐん)の粮穀(らうこく)まことに優(ゆたか)に候なり。今(いま)すでに官(くわん)
所(しよ)に納(おさ)むる白米(はくまい)も一千 石(こく)余(よ)有(あり)。是等(これら)をもつて天兵(てんへい)《割書:大明(たいみん)|の兵(へい)》の兵粮(ひやうらう)ともいたすべ
く存(ぞん)ずれども。かやうに乱民(らんみん)多(おほ)くして防(ふせ)くべきにも兵卒(へいそつ)なし。何卒(なにとぞ)柳公爰(りうこうこう)