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みな平壌(へくしやく)より落來(おちきた)りて。定州(ていしう)に相集(あひあつま)る尹斗壽(いんとじゆ)は。日本勢(につほんぜい)の間(ま)ぢかきを恐(おそ)るゝ
ゆゑ。此所(このところ)を守(まも)り得(え)ず御 ̄ン駕(が)を追(お)ふてしたひ行(ゆく)。金命元(きんめいけん)李薲等(りひんら)【注】は跡(あと)にしばらく
とゞまり。定州(ていしう)を守(まも)りける御 ̄ン駕(が)は此時(このとき)龍川(りやうせん)の地(ち)に入(いり)給ふとぞ聞(きこ)えける。
柳成龍(りうせいりやう)兵粮(ひやうらう)を聚(あつむ)る事(こと)
偖(さて)また大明(たいみん)の軍兵(ぐんひやう)すでに日(ひ)を経(へ)て。鴨緑江(おうりやくこう)にも近(ちか)づきなんとする由(よし)。先立(さきたつ)て李㫟(りゑん)
の行在所(あんさいしよ)義州(ぎしう)の地(ち)にも聞(きこ)へければ。柳成龍(りうせいりやう)は頃日(このころ)病気(びやうき)に臥(ふし)て有(あり)けれども。臣(しん)すでに
明将(みんしやう)を相接(あひせつ)すべき役(やく)として。怠(おこた)るべきにあらずとて強(しい)て行(ゆか)んことを乞(こひ)申にぞ。
李㫟(りえん)もこの義(ぎ)を許(ゆる)されける。兼(かね)て亀城(きじやう)の従事官(じふじくわん)洪宗禄(こうそうろく)をもつて。粮米(らうまい)転(てん)
運(うん)のことを諭(さと)し告(つげ)て。亀城(きじやう)優福(ゆうふく)なる邑里(むらさと)につかはしたれば。成龍(せいりやう)も又(また)此事(このこと)
を弁(べん)せんため。所串駅(しよさんゑき)といふところの間(あひだ)まで行到(ゆきいた)るといへとも。役人(やくにん)も民人(みんじん)も尽(こと〳〵)
【注 「𦿜」こは辞書に見当たらず。】