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く賊(ぞく)を切(き)らんとしたるに。不幸(ふこう)にして史(し)遊撃(ゆうけき)討死(うちじに)すしかも天(てん)の時(とき)如此(かくのことく)なる故(ゆゑ)に。
おもひの外(ほか)に戦(たゝか)ひ利(り)あらず賊(ぞく)を討(うつ)こと延引(ゑんいん)せり。我(われ)まさに兵馬(へいば)を添来(そへきた)り更(さら)に
進(すゝ)んで征討(せいとう)すべきのこと。汝(なんぢ)が宰相(さいしやう)に語(かた)るべし。必(かなら)ず上下(しやうげ)譟動(そうどう)をなすべからず。浮橋(うきはし)
をも撤(すつ)べからずと云(い)ひ畢(おは)り。軍(ぐん)を控江亭(くうこうてい)にとゞめたり。抑(そも〳〵)承訓(しやうくん)が此度(このたび)のなす
ところを考(かんが)へ見(み)るに。おもひの外(ほか)の一 戦(せん)にこと〳〵く敗(はい)を取(とり)。おそらくは日本勢(につほんせい)の追(おひ)
討(うた)んことの急(きふ)ならんかと。これによりて二 江(こう)を隔阻(へだて)て防(ふせが)んとおもふによりて。如此(かくのごとく)の
手段(しゆだん)なり。柳成龍(りうせいりやう)は兼(かね)てより大明(たいみん)の軍将(くんしやう)の馳走人(ちそうにん)たるにより。従事官(じふしくわん)を
つかはしてこれを慰(なくさ)めしむ。粮米(らうまい)なとを送(おく)るか故(ゆゑ)祖承訓(そしやうくん)も控江亭(くうこうてい)に逗留(とうりう)
すること二日なり。連日(れんじつ)昼夜(ちうや)の小(こ)やみなく大雨(たいう)しきりに降(ふり)たりければ。諸軍(しよぐん)
野中(のなか)に陣(ちん)をなす故(ゆゑ)に。着(き)たるところの甲冑(かつちう)こと〴〵くぬれて。兵士(へいし)の苦(くる)しみ大(おほ)