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よりさき景行天皇(けいかうてんわう)の御宇(ぎよう)に於(おゐ)て。筑紫(つくし)の地(ち)にて反逆(ほんぎやく)を企(くわだ)て。貢物(みづきもの)を
も押(おし)とゞめて是(これ)を献(けん)ぜず。しば〳〵叡慮(えいりよ)にそむきし儘(まゝ)京都(きやうと)より多(おほ)くの軍(ぐん)
兵(ひやう)を指遣(さしつかは)され。討伐(とうばつ)を加(くわ)へらる。熊襲(くまをそ)すでに己(おのれ)が足(たら)ざることを知(し)れるが
故(ゆゑ)に。一旦(いつたん)は其(その)罪(つみ)に伏(ふく)し随(したが)ふといへども。また再(ふたゝ)び謀反(むほん)をなし朝廷(てうてい)の貢献(こうけん)
を怠(おこ)たつて奉(たてまつ)らず。天皇(てんわう)は聞召(きこしめし)悪(にく)き者(もの)の仕方(しかた)かな。急(いそ)ぎ誅伐(ちゆうばつ)あるべ
きに定(さだ)めて。宝輦(ほうれん)をかの地(ところ)に廻(めぐ)らされ。自(みづか)ら追討(つひとう)せらるべきの旨(むね)あり。国(くに)
々(〳〵)の軍兵(くんひやう)を召(め)されける。皇后(くわうこう)はこの事(こと)あるを聞召(きこしめ)し。吾(われ)は女(おんな)なりとても
此度(このたび)の御供(おんとも)に参(まゐ)らでやあるべきと。頻(しき)りに望(のぞ)ませ給ふにより。天皇(てんわう)も又(また)此(この)
儀(ぎ)を御承引(ごしよういん)まし〳〵ける。既(すで)に鷁舟(けぎしう)の纜(ともつな)を解(とく)に至(いた)り。皇后(くわうごう)は此度(このたび)逆賊(けぎぞく)
追討(つひとう)御祷(おんいのり)のためにとて。先(さき)だつて越前(ゑちせん)の国(くに)笥飯(けひ)の明神(みやうじん)に詣(まう)で。奉幣(ほうへい)を