Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - ページ 81

ページ: 81

翻刻

云(いへ)る者(もの)年齢(ねんれい)すでに。老(おい)に至(いた)れど子(こ)の無(な)き事(こと)を悲(かな[し])んで。山川(さんせん)の神(かみ)に祭(まつ)りて嗣(よつき)の 子(こ)を求(もと)むるに。ある時(とき)扶余王(ふよわう)鯤淵(こんえん)と云ふ所(ところ)を過(すく)るとて。その淵(ふち)の傍(かたはら)にて乗(のつ)た る馬(うま)の足(あ)を止(とゞ)めて策(むち)うてども動(うこ)かさるに心(こゝろ)づき。あたりを見れば珍(めづ)【珎は俗字】らしき大石(たいせき)あ り。彼馬(かのうま)しきりに此石(このいし)に向(むか)ひ対(たい)して涙(なみだ)をながす。扶余王(ふよわう)いよ〳〵怪(あやし)【恠は俗字】んでその石を 転(ころば)しのけ見てあれば。金色(こんしき)の蛙形(かへるのかたち)なる小兒(せうに)一人 出(いで)たり。王よろこんで抱(いた)き取 これぞ寔(まこと)に天(てん)の授(さづ)くる端相(すゐさう)たりとて。乃(すなは)【「ち」は誤】ち己(おのれ)が子となし養育(やういく)するほどに。 日を経(へ)て成長(せいちやう)したりければ。立てこれを太子(たいし)とす。その家(いへ)の長臣(ちやうしん)阿蘭弗(あらんほつ)と 云(いへ)る者(もの)扶余王(ふよわう)に告(つぐ)るやう。昨夜(さくや)不思義(ふしき)の夢(ゆめ)を見たり天 帝(てい)我(われ)にのたまふやう 正(まさ)に我子孫(わがしそん)をして爰(こゝ)に国を立(たて)しむ。你(なんぢ)は早(はや)く東海(とうかい)のほとりへ行(ゆき)。宜(よろし)き地を見立(みたて) べし加葉原(かえうけん)と云地(いふち)あり。其所(そのところ)土壌(とじやう)ゆたかに地(ち)厚(あつ)し土穀(ごこく)によろしき所なれば。早(はや)