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て大(おほい)に呼(さけ)び。鉾(ほこ)をまじへて敵兵(てきへい)数十人(すしふにん)暫時(ざんじ)の間(あいだ)に討取(うちと)りたり。勇猛精神(ゆうまうせいしん)
の其(その)有(あり)さまはさながら。郡羊(ぐんよう)の猛虎(まうこ)に遇(あ)ふが如(ごと)くなり。唐(たう)新(しん)の両兵(りやうへい)とも此(この)
勢(いきほ)ひに辟(へき)【劈】易(ゑき)し。進(すゝ)み兼(かね)て見(み)えけれども日本(につほん)の兵軍(へいぐん)はつゝける味方(みかた)の
あらざれば。其身(そのみ)一人を以(もつ)て万千(まんせん)の兵(へい)に当(あた)りがたくしてつひに。朴市田來津(ゑちたらつ)【ママ】は
討(うた)れにけり事(こと)すでにかくの如(ごと)くなりければ。豊璋(ほうしやう)今(いま)は独身(どくしん)にてのがれ出(いて)て
高勾麗(かうこうらい)に落行(おちゆき)けり。百済国(ひやくさいこく)の王子(わうし)忠勝(ちうかつ)忠志(ちうし)等(とう)はその部下(ぶか)の人衆(にんしゆ)を引(ひき)
て。唐(たう)の軍(ぐん)に降参(こうさん)すれば我軍(わがぐん)の残兵(ざんへい)は。新羅(しんら)の軍(くん)にくだれるも又(また)多(おほ)
かりける新羅(しんら)の大将(たいしやう)我軍(わがくん)の降人(かうさん)に対(たい)して云(いふ)。新羅(しんら)よりなんぢが国(くに)とは海(うみ)を
隔(へだ)て講話(かうわ)をなして。聘問(へいぶん)交通(かうつう)に嘗(かつ)て他(た)の意趣(いしゆ)を構(かま)へず。しかるに何(なん)ぞ百
済(さい)を救(すく)ふて我(われ)をはかれる。今(いま)汝(なんぢ)が命(いのち)我(わが)掌握(しやうあく)のうちにあれどもこれを殺(ころ)す