翻刻
【右丁】
なきさ麗(れ)ば九百九十九人の数(かづ)も
満(みち)て今壱人にて大 願成就(ぐはんじやうじゆ)に
至(いた)類(る)とき忽然(こつぜん)として壱人の
乞丐人(かたいにん)出来(いでき)た梨(り)総身(そうしん)たゞれ
脳血(のうけつ)ほどばしり臭気(しうき)【左ルビ:くさき】堪(たへ)がたく
多(おふ)くの宮女(きうじよ)鼻(はな)を掩(おほ)ひてかたはら
【左丁】
によるものさらになし后(きさき)是(これ)をも
いとひ給(たま)はずいか伝(で)悲願(ひぐはん)を空(むなし)う
せんと帝(て)自(みづから)汚穢(けかれ)の旧垢(ふるあか)を流(あらい)
浄(きよ)めたまひけるに乞丐(かたい)怡然(いぜん)と
して我(わか)瘡脳(そうのう)痒(かゆく)して堪(たへ)がたし
口にて吸(すい)出したまはらんやと