翻刻
【右丁】
いゝけるを后(きさき)のぞみにまか勢(せ)
こと〴〵く悪脳(あくのう)を吸(す)ひたまはら
んとしたもふ時に乞丐(かたい)の身(み)
より金色(こんじき)のひかりをはなち
善哉(よきかな)我(われ)は東方(とうほう)阿閦仏(あしゆくぶつ)なりと
のたまひて紫雲(しうん)のうちに入り
【左丁】
たまへば后(きさき)もふたゝび光明(こうめう)赫々(かく〳〵)
とあらはれけるこそ難有(ありがた)けれ今(いま)
に其(その)事蹟(じせき)奈良(なら)の里(さと)に残(のこ)り
け類(る)是(これ)洗湯(せんとう)の濫觴(らんしやう)【左ルビ:おこり】にて風呂(ふろ)
の上に破風(はふ)を付(つけ)し由来(ゆらい)なりける