翻刻
【右丁】
火(ひ)と水(みづ)の恵(めぐみ)も深(ふか)き湯屋(ゆや)とせひ
薪(たきゞ)のおかげ頼(たのも)しきか那(な)
平生(へいぜい)の身(み)もちにほしや風呂(ふろ)上(あが)り
斯(かく)湯屋(ゆや)のことを能(よく)近(ちか)く俗(そく)に和(やはら)げて
湯語教(ゆごけう)なれり此書(このしよ)を暗記(そらん)ずれは
自(おのづから)商売(せうばい)の意(こゝろ)に叶(かな)ひ誠(まこと)の道(みち)に
【左丁】
至(いた)るべし故(かるがゆへ)に薪(まき)を割(わ)り脊中(せなか)を
ながす片手間(かたてま)にも湯屋(ゆや)たるもの
奴婢(ぬび)【左ルビ:めしつかひ】を使(つか)ふ主人(あるじ)に此書(このしよ)を読(よま)しむ
べしと賢人(けんじん)めかして■(つゝれ)【糸+写】しを
覗(のぞき)きが穴(あな)を見(み)すかして褌盥(ふんどしだらい)の
底(そこ)あさき戯書(たはむれがき)をあてがきに