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【一段目】【「○このしろあん懸」より右は前コマ】
○冷(ひや)し魚類(さかなのるい)《割書:出ししやうゆ|おろしゆ》
鯛(たい)。鱸(すゞき)。鯵(あぢ)。鱧(はも)せんどう切(ぎり)。
かき、まなかつを。寄魚(よせうを)《割書:より| もの》
いせえび。車(くるま)ゑひ。鮑(あはひ)。赤貝(あかがい)。
右のるい湯 煮(に )してすぐに水に冷(ひやかし)
魚(うを)相応(さうをう)の鉢(はち)へ入(いれ)水(みづ)をためて出(いた)す
【縦棒の左へ続く】
右の中(うち)にてかきまなかつを抔(など)は
尾首(をかしら)をとり中肉(なかみ)の所(ところ)にて用(つか)ふ
べし又小(こ)ざいに切(き)るもよしゑびは
生(なま)にてかしら皮(かは)ともとりて湯(ゆ)
煮(に)すべし《割書:但し| 》くるまゑび背(せ)をわり
いせゑびは程よく切るがよし
●とうふ。かもうり。白うり。そうめん
見合にあしらふべし。貝は小さいかよし
○すつぽんもどき
あかゑ ふか 鯛(たい)のあら《割書:わた| とも》
はものわた。何(いづ)れにても油(あぶら)にて
いりつけ。その中(なか)へ醤油(しやうゆ)すこし。酒(さけ)
すし入(いれ)て。さつと煮(に)。さて煮出(にだ)し
かごへあげ。よく汁(しる)をたらし其後(そのゝち)
かつを出(だ)しかげんよくし。出(いだ)す。尤
【縦棒の左へ続く】
《割書:さゝがきごほう|わりねぶか》いつれもよし《割書:せうがの|しぼり汁》
入て出べし又たの頭(かしら)をよくこなし
腸持(わたもち)あるひはのどのあたりをも程よく
切わた子(こ)とも一緒(いつしよ)にして塩(しほ)を強(つよく)
して一時斗(ひとゝきはかり)ありて水にて洗(あら)ひ
沸騰(にへゆ)をさつとかけ扨かつを出しのか
げんよくしすまし仕立(したて)《割書:せうが| にて》出(いだす)べし
○鯛(たい)ギウヒ巻(まき)《割書:かれ【?】にても| よし》
いづれにても魚の水あらひよくし
両身(りやうみ)ともおろし小口よりひら
作(つく)りにし塩少しふりて扨(さて)
きうひこんふをのばし其上へひ
しとならべ小口より巻(まき)しばらく
おして小口切にて出す《割書:くわし【?】こんふにても|よし是は二時置》
【かれ:未詳】
【きうひこんぶ=求肥昆布:昆布蒸して砂糖を塗り、乾燥させたもので、現在も北海道で作られている。最後の「くはしこんふ」もこれと似たものだろうか】
○いわしあんかけ
首(かしら)をとり三まいにへぎよく洗(あら)ひ
扨きくらげなと一所にして鉢(はち)
に入(いれ)鍋(なべ)にて蒸(むし)てむし上(あが)りたる
時(とき)とり出(いだ)し溜(たま)りし水をした【こ?】み取(とり)
上(うへ)より葛(くす)溜(たま)りかけ《割書:わさひ|せうが》抔(など)にていだす
【二段目】【「○蛎ねき田楽」より右は前コマ】
○味噌煮物(みそにものゝるい)
いせゑび くるまゑひ 生(なま)かひ
たこ 赤貝 《割書:はまぐり| むきみ》
きんこ 赤にし あかゑい
右のるいたゝきみそ又はねりみそ
いづれにても酒(さけ)沢山(たくさん)に入てよく煮る
・せうが・さんせう・こせう・とうからし
・わさひ・きのめ 見合にて出すべし
○すゞきいり出(だ)し
魚(うを)の大小にかぎらず常(つね)のごとく水
あらひよくし三枚におろし中骨(なかをち)を余(のけ)
両肉(りやうみ)とも小角(かく)に切て油にて揚(あ)け
其まゝふた物(もの)に入て出(いだ)すさめてはわるし
猪口に
生しやうゆ おろし大こん
ねぎの小口切 とうからしのこ
右のかやく別(べつ)に付て出(いだす)か直入(ぢきいれ)もよし
前のごとくすゞきを切(きり)油(あぶら)にて揚(あげ)
わりねき。さゝかきこほう。かもうり
白うりのそぼろ。はすいも。かいわり
右の内一品をあしらいにてすまし
吸物(すいもの)にて出す《割書:せうが汁(じる)どせう。柚|さんせう。此内見合吸口》
又右のごとくあげたる物(もの)をふた物(もの)に入
ねぎみそ上(うへ)よりかけて出すもよし
○同 味噌(みそ)かけ
是も前(まへ)のごとく油にてあげたるを
蓋(ふた)ある器物(うつはもの)に入(いれ)扨(さて)ねぶかみそ
又はさんせうみそあるひは白みそ
《割書:白みそならは|おろしゆかける》いづれのみそにても好(この)み
に応(をう)じ上(うへ)よりかける○《割書:尤みそも一寸(ちよと)|煮(に)るがよし》
○赤ゑ小串(こくし)田楽(でんがく)
常のごとく水あらひをよくし
小角(かく)に切(きり)串(くし)に四つ五つ程(ほと)づゝ
さしうらおもてよりよく
焼(やき)てとうがらしみそ さんせうみそ
ふきみそ きのめみそ 此内何みそ
にても心まかせにつかふべし
○同 早(はや)いり出(だ)し
前(まへ)のごとく小角(かく)に切(きり)よく水の
気(き)を布巾(ふきん)にてひたしとりて
扨(さて)鍋(なべ)にあぶらを少(すこ)し入(いれ)右の
肉(にく)を入てよくいり付 鉢(はち)へうつし
生醤油(きじやうゆ)《割書:大こんおろし|ねき小口切》猪口(ちよく)に入出すべし
【三段目】【「○たち魚吸物」より右は前コマ】
○烏賊(いか)そぼろ
水あらひよしくいかの大小(だいせう)によ
りて三まいあるひは二まいに
へぎ随分(ずいぶん)薄(うす)く小口より刻(きざみ)
至(いたつ)てにへ湯に入かきまぜ直(すぐ)に
水(みつ)にうしさつとあらひ《割書:薄くず|せうが|にて出す》
○同玉子じめ
是も前(まへ)のごとく湯煮(ゆに)したる
ものを。きくらげ。やきぐり。
などをあしらいて玉子とじに
して 大平(おほひら)物 菓子(くはし)わん又は
吸(すい)ものに用(つか)ふべし《割書:ひさんせう|にて出すべし》
又はすましすしすいものにもよし
○同 油味噌煮(あぶらみそに)《割書:上にねぶか小口|おくべし》
是もいかの大小にかぎらず水(みづ)洗(あらひ)
よくし拍子木(ひやうしぎ)に切(きり)水けをしたし
とりて扨 鍋(なべ)に油を少(すこし)入(いれ)其中(そのなか)へ
入(いれ)ていり付(つか)ざるやうにかきまぜ程
よき時分(じぶん)にすりたる味噌(みそ)を入(いれ)酒(さけ)にてかげんよく延(のは)しよく煮(に)る
○同 味噌煮(みそに)
是水あらひよくし生(なま)にて二寸
ばかりの柏子木(ひやうしぎ)に切(きり)白(しろ)みそを
たゝきで水(みつ)酒(さけ)にてゆるく延(のば)し鰹(かつを)
沢山(たくさん)に入(いれ)其中(そのなか)へ切たる肉(にく)をいれ
煮(に)つめて出す《割書:さんせうこせう|せうが類見合》
○内蜆(みしゞみ)酢和(すあへ)
随分よき肉(み)しゞみを手(て)
にてもみ砂気(すなけ)を去(さ)りて
水にて幾(いく)たびもよく洗(あらひ)
水気(みづけ)をひたしより扨(さて)
きくらげをあしらいからし酢(す)
みそにてあへて出すべし
○同 黒和(くろあへ)
是も前(まへ)のごとく砂気(すなけ)を
よくとり水にていくたびもあらひ水気(みづけ)を布巾(ふきん)にてひたしとり其後(そのゝち)黒(くろ)
胡麻(ごま)味噌(みそ)にて和(あへ)る《割書:ごま沢山に|入れるがよし》
【四段目】【「○いわし田楽(でんかく)」より右は前コマ】
○このしろ薄(うす)みそ鱠(なます)
水あらひよくし首(かしら)をとりて
三まひにおろし腹(はら)ほねを
すきとり背(せ)こしに作り《割書:大こん|きくらげ》
《割書:椎たけ あげどうふ|みつばかせり》右 一所(いつしよ)にあへまぜ
酢(す)醤油(しやうゆ)味噌(みそ)少し合(あは)し沢山(たくさん)にかける
○鯨(くじら)味噌(みそ)かけ
随分 味(あぢ)よき美(み)くじらの塩(しほ)を
程よく出(た)しさつと湯煮(ゆに)して
生干(なまぼし)かぶら木くらげ此(この)二色(ふたいろ)を
一緒(いつしよ)にふたある筥物(はこもの)に入(いれ)上(うへ)に
さんせうみそとがらしみそなど
かけて出すべし《割書:花かぶらはよく|湯煮すべし》
○同 茶碗蒸(ちやわんむし)
是も随分(すいぶん)上品(じやうひん)のくじら肉(にく)を
程(ほど)よく塩(しほ)出(いた)して木くらげ
ねぶか白根(しろね)斗(ばかり)五部切此三 品(しな)を
一緒(いつしよ)に茶(ちや)わんに入(い)れ扨(さて)かつをの
出(だ)しにかげんよく醤(しやう)ゆを合(あは)し玉子
をいれかきまぜ上(うへ)よりかけて蒸(む)す
○鮪(はつのみ)田楽(でんがく)
随分(すいぶん)よき魚(うを)を小さく切(きり)小串(こぐし)に
さしてうらおもてよりよく
やきとからしみそにて田楽(でんがく)
にすべし又 前(まへ)のごとく串(くし)に
さしたるをさんせうしやう
にて付やきにするもよし
○同鉄(てつ)ぽう和(あへ)
是もずいぶんよき魚(うを)を細(ほそ)く
作(つく)り汲立(くみたて)の水にて数(す)へん洗(あらい)
水気(みつけ)をとりてけつり大根(だいこん)
と一緒(いつしよ)にからしずみそ又は
とうがらしずみそなどにて和(あへ)て
出(いだ)すべし《割書:右のごとくにしてさしみ|にするもよし》
○同てんぷら
是もよき魚(うを)の血合(ちあい)を去(さり)て庖丁(ほうてう)
のむねにて叩(たゝ)きこなし扨(さて)此肉(このにく)を布(ぬの)
袋(ふくろ)に入れ外(そと)より水(みず)をいくたびも
かけもみにしてしぼれば肉(にく)されて
白くなるを摺鉢(すりばち)へ入 酒(さけ)と塩(しほ)少し入て
よくすりよき程にとり油にてあげる