翻刻
【右丁】
事故暑氣甚敷五穀者可及申水も無之
椰子(ヤス)之実之中ニ有之汁ヲ吸候由衣類者無之
男ハ裸ニ而女者椰子の葉を以て纔ニ前ヲおゝい
居申候若うつむき候時は後之躰難申候家
ハ椰子之木を以四ツ足之小家ヲ作り罷在候
亦椰子の割足之入程ヲ穿(ウガツテ)て是を従へ弓
を以漁事仕候萬国せん往来ヲ見受候得共
男女海ヲおよき来り鴉片煙草を貰ひ女を
借り申候是より戌之方へ乗り翌日寅右衛門
【左丁】
の三月頃「キユーエン」と申處ニ着帆是も嶋ニ而
人物亜細亜之人ニ異り不申目も髪も黒ク
惣髪二仕衣類家作ハ「伊斯彼尓耶(イスハニヤ)」風ニて
御座候「イスハニヤ」ゟ奉行置有之候日本の西南
六百里斗拾弐三度之処ニ而御座候爰ニ而三拾
日斗滞留薪水を取入戌亥の方へ乗出
東江轉し日本の沖百里斗之所ヲ東江鯨
漁し四拾度位之所ヲ南江乗「ウワホー」之辺
に参候處丑之方ゟ吹く風に落され南江