翻刻
【右丁】
入津仕り居申候七八月頃此所出帆又日本之
沖鯨漁し南江乗又「キヱーヱン」ニ着く霜月ころ
出帆南江乗り翌酉年二月頃「セラン」と申所江
着く此所「イスハニヤ」支配にて風俗其國の
通ニ候爰ニ而薪水を調へ未申の方へ乗り
出南へ轉し喜望峯を廻り戌亥へ向
ひ「マセツセーツ」に帰帆仕候実は此度折能
く御座候ハヽ帰朝仕候心得ニ御座候処又亜
米利幹へ帰り候間折にふれ故郷へ
【左丁】
帰り度なつかしく抔申候處婦人等皆日本江
帰れハ御作法ニて首を咽から後江切もかるゝ
恐敷国なり帰るべからすと申候何に此國ニ而
日本の作法を知ルものがあるべきや抔と
たハむれ答申候或日金山江参候商舩有之
趣承候間便を乞入上舩仕候處直ニ出舟ニ而
「キヤリハヤ」の洋を通り「南アメリカ」の岬を廻り候処
地方の人は身之丈八尺程女者七尺余大人国
と唱候よし翌戌の四月「南アメリカ」之内「タコアナ