翻刻
布(ぬの)を水にしめし甑(こしき)の内に敷(しき)随分よく蒸(むし)
杵臼(つきうす)にて右やはらかに成候程つき椿(つばき)の実(み)程に
まるめ上下(うへした)椿(つばき)の葉(は)二/枚(まい)にはさみてよし但
口中にてきゆるごとくにて味(あぢはひ)宜しきもの也
(十五)匕羊羹(すくひやうかん)
小豆(あづき)のこし粉水/気(け)をよくしぼり《割書:百目》葛(くず)の
粉《割書:廿匁》うどん粉《割書:廿匁》/塩(しほ)見合白沙糖《割書:弐百目》
に水《割書:五合》入れ煎(せん)じ塵(ちり)と砂(すな)を漉(こし)右の四/味(み)
を引鉢(ひきばち)にて揉(もみ)合(あは)せ右の煎(せんじ)沙糖/少宛(すこしづゝ)入れ
もみ合せ候て外に水弐合入れ右の水合て
七合をよくかきまぜ甑(こしき)の内に四角(しかく)なる箱(はこ)
にさし底(そこ)のなき籰(わく)を置/木綿(もめん)の敷/布(ぬの)
水にひたしわくの内へ敷尤/蒸(むし)釜(かま)の上に
かけ置右のやうかんを流し入れ随分かた
まる迄つよく火を焼(たき)て蒸(むす)なり能(よく)蒸(むさ)り