翻刻
麦飯(むきめし)
○麦(むき)めしは早(はや)く消化(せうくわ)し気(き)を開(ひら)き上戸(しやうご)は殊(こと)に下戸(げこ)も喰(くふ)べし
蕎麦(そば)
○蕎切(そはきり)は元(もと)より冷(ひへ)の物(もの)なれば老少(らうせう)虚弱(き[よ]しやく)こゝろへてくへ
蕎(そば)かき
○蕎(そは)かきにすれば内(うち)をもあたゝめて仙気(せんき)腹痛(ふくつう)溜飲(りういん)によし
温飩(うんとん)
○うんどんは内(うち)を温(あたゝ)め汗(あせ)すれど多(おほ)く喰(くら)へば気(き)をふさぐなり
索麪(そうめん)
○そうめんは温(あたゝ)かなるぞ薬(くすり)なる夏(なつ)の日なとはひやしくうとも
餅(もち) 《割書:并》 団子(たんこ)
○餅類(もちるい)は消化(せうくわ)の遅(おそ)き物(もの)なれば老少(らうせう)ともに内(うち)ばにはせよ
菓子類(くわしるい)
○上菓子(しやうくわし)は内(うち)に持(もた)れて歯(は)に悪(あし)し少(すこ)したべれば薬(くすり)とぞ成(なる)
清水(しみつ) 冷水(ひやみつ)
各(おの〳〵)無毒(むどく)なり夏日(かじつ)には葛粉水(くづみつ)或(あるひ)は道明寺水(たうめうじみづ)の
粉(こ)へは砂糖(さたう)胡椒(こせう)なとを入(いれ)て少々(せう〳〵)飲(のむ)は食物(しよくもつ)を解(げ)し暑(しよ)
気(き)もさくる也 酒後(しゆご)或は夏日(かじつ)の旅行(りよかう)なとには尤(もつと)も
元気(げんき)を増(ませ)とも餘慶(よけい)にのむべからず
○夏の日も涼(すゝ)しかりけり岩間(いはま)よりもりくる清水(しみつ)結(むす)ふ袂(たもと)に