翻刻
【右丁】
の中(うち)に居(ゐ)て一気(いつき)を流通(りうつう)す《振り仮名:於_レ是|こゝにおゐて》陰陽(いんやう)虚実(きよじつ)
寒暑(かんしよ)温涼(おんりやう)飲食(いんしよく)色慾(しきよく)の慎(つゝしみ)を明(あきら)かにすれば天(てん)
地(ち)の養生(やうしやう)に叶(かな)はざることなうして無事(ふじ)なりもし
己(おのれ)に克(かつ)ことをしらず過不及(くわふきう)あれば其邪(そのしや)に中(あた)る事(こと)決(けつ)
然(ぜん)の理(り)也 夫(それ)人(ひと)は即(すなはち)小天地(せうてんち)の如(こと)しいかんとなれば頭(かしら)
は天(てん)にして足(あし)は地(ち)也つら〳〵おもんみるに元気(けんき)の天(てん)
地(ち)に流行(りうかう)すること古今一息(ここんいつそく)の凝滞(きたい)【ママ】なし是(これ)天地(てんち)発(はつ)
育(いく)の機(き)生々不息(しやう〳〵ふそく)の妙(めう)万世(はんせい)にわたりて《振り仮名:無_レ窮|きはめなき》は
養生(やうしやう)の自然(しぜん)也(なり)是以(こゝをもつて)人(ひと)皆(みな)五臓十二節(ごぞうちうにせつ)備(そなは)つて
天気(てんき)に流通(りうつう)す此慎(このつゝしみ)をしば〳〵犯(おか)すものは則(すなはち)邪(しや)
【左丁】
気(き)人(ひと)を傷(やふる)能(よく)其道(そのみち)をまもれば血気(けつき)和順(くわしゆん)飲食(いんしよく)消(せう)
化(くわ)して《振り仮名:不_レ滞|とゝこほらざれ》ば気血(きけつ)自(みつから)盛(さかん)に精神(せいしん)日(ひゝ)に旺(あきらか)にして何(な?)【「ん」ヵ】の
疾病(しつへい)かこれあらん天地(てんち)の気(き)も又々(また〳〵)《振り仮名:如_レ斯|かくのことし》和(くわ)する
時(とき)は散(さん)して霜雪雨露(さうせつうろ)となり凝(こる)時(とき)は戾気(れいき)曀(ゑい)
霾(まい)となる又(また)河水(かすい)否塞(ひさい)すれば能(よく)堤坊(ていばう)を壊(やぶ)り地(ち)
気(き)伏迫(ふつはく)するときは必(かならず)震烈(しんれつ)す是(これ)時侯(じこう)の循環(じゆんくわん)せざ
るより起(おこ)る也 既(すで)に宝永(ほうゑい)四 壬亥(みつのえゐの)十一月廿三日より駿(すん)
州(しう)富士山(ふじさん)焼出(やけいた)し砂石(しやせき)を降(ふら)し雷電(らいでん)震動(しんどう)して
昼(ひる)も闇暗(やみ)にして昼夜(ちうや)分(わか)ちなく漸(やうやく)廿八日に穏(おたやか)に
なり此時(このとき)傍(かたわら)に小山(こやま)発生(はつせい)す則(すなはち)宝永山(ほうゑいざん)是也(これなり)また