翻刻
【右頁】
身(み)のうちのぬしはこころよ一身(いつしん)の
安危(あんき)はぬしの心(こゝろ)にぞある
心(こゝろ)にてこころよきぞとおもふこと
おほくはためにならぬ物なり
若(わか)き身(み)の丈夫(ぢやうぶ)だのみの不養生
やがて老後(らうご)の後悔(こうくわい)となる
をのが身に病(やまひ)ありては何(なに)の身で
君父(くんぷ)につかへ奉(たてまつ)るべき
達者(たつしや)だて丈夫じまんの無理(むり)わざは
つゐに病の種(たね)とこそなれ
【左頁】
すくこともよき程(ほと)にせよ耽(ふけ)りては
身のやしなひは忘(わす)れはつべし
心をはつねに静(しつか)にその身をば
つねにほどよくうごかすぞよき
兎(と)も角(かく)も癖(くせ)になしなばくせづかん
ただよきくせをつくるにぞある
不養生はこらへこらへてすべからず
のちには常(つね)の癖となる也
常(つね)にただ義理(ぎり)の書物(しよもつ)をよむか又
よませてきけばよき癖(くせ)ぞつく