翻刻
一 霖雨(ながあめ)降(ふり)つゞきたるあかりに山(やま)欠(かけ)落(おつ)ること所々に
まゝあること也か様の折は山岸(やまきし)の大巌石(たいがんせき)等 有(ある)下(した)
の泊屋(とまりや)又は川岸(かわきし)に望(のそみ)たる家居(いゑゐ)等に泊るべからず
兼而心得 斟酌(しんしやく)有べき事なり
一道中にて人馬の賃銭(ちんぜん)并 宿銭(はたせん)等 連中(れんちう)にて
も其(その)度々(たび〳〵)面々(めん〳〵)の手前(てまへ)より出すべし若折に
より銭の有合なき人は当坐(とうさ)に取替(とりかへ)置(おく)共(とも)
其日(そのひ)の泊々(とまり〳〵)にて算用(さんよう)すべし長(なかき)道中(たうちう)にては
日記帳(につきちやう)にしるし置ても末々(すへ〳〵)に至(いたり)てはわかり
難(かた)きものなり因而(よつて)等閑(なをざり)にせぬことなり
一道中にて或は両三日又は五七日 道連(みちつれ)に
なり
其人(そのひと)信実(しんじつ)に見るとても同宿し或は食物(しよくもつ)并(ならび)
に薬(くすり)等 互(たかひ)にとりやり決而(けつして)すべからず
一 途中(とちう)にて馬なき人 駄荷(だに)ある人に道連(みちつれ)に
なり譬(たとへ)知(しる)人にても風呂敷包(ふろしきつゝみ)等 其(その)馬に頼むべ
からずは若(もし)途中(とちう)にて急(きう)に入用ありても他人(たにん)
の馬に頼るは其間にあわぬものなり皆人道
中へ出ては我身(わかみ)独(ひとり)を堅固(けんご)に構(かまへ)人に持れぬやう
にするをき専一とすべし
一 道連(みちつえ)はたか〳〵五六人に限(かき)るべし大勢連(おほぜいつれ)は悪(あし)