翻刻
泊屋(とまりや)并 ̄ニ医者(いしや)よりも一札を貰(もら)ひ取置べき也
附(つけ)たり一人旅又は回国(くわいこく)する輩(ともがら)は寺証文(てらせうもん)懐中(くわいちう)有(ある)
べきなり万事(ばんじ)道中 念(ねん)入(いれ)る人(ひと)には異変(いへん)なきも
のなりと知へし
一道中にて日蝕(につそく)あらは少々 休(やす)み見合蝕すんて
歩行すべし月そくも同様なり
一道中にて神社仏閣(じんしやふつかく)は勿論(もちろん)橋々(はし〳〵)立木(たちき)又は大石(おほいし)等へ
楽書(らくかき)并 ̄ニ張札(はりふた)等 決而(けつして)すべからず
右六十一ケ条の外 廉立(かとたち)たる事は此末に別(べつ)箇条(かてふ)
にくわし
水替用心之事
一 皆(みな)人(ひと)他国(たこく)へ出れば五七日の中(うち)水替(みづかはり)とて或は腹(ふく)
合(あい)あしく或は逆上(のぼせ)或は両便(りやうべん)不通(ふつう)或は発斑(ほつはん)小(しやう)
瘡(そう)等 持病(じひやう)の外(ほか)なるものを憂(うりやう)ることあり何国(いづく)
にても一 天地(てんち)の中(うち)なれは同し天地の気(き)を呼(こ)
吸(きう)することなれば水(みづ)の替りたるとてさのみ煩(わづら)ふ
べきはづはなけれどもさにあらず其(その)国々(くに〳〵)の風土(ふと)
により湯水(ゆみづ)にも限(かぎ)らず寒暖(かんだん)気候(きかう)人気(じんき)食物(しよくもつ)
に至(いたる)迄(まで)こと〳〵く異同(いとう)厚薄(かうはく)挙(あけ)て算(かそへ)がたし
譬(たとへ)ば山川(やまかわ)の魚(うを)を野池(やち)へ放(はな)す時はしばらくが