翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

旅行用心集 - 翻刻

旅行用心集 - ページ 36

ページ: 36

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欙(かんじき) 是は鉄(てつ)にて鎹(かすかい)の如く作り 草鞋(わらじ)の下へはき雪の上 すべらぬ為のものなり 又 手軽(てかる)く作りて沓草(くつぞう) 履(り)等の下へはくなり 商人田舎の人是を 用ざるものなし 樏(かんじき) 蔓(つるもの)にて作(つく)り わらじの下へ はき雪の深 き処へふみ 込ぬ為なり 山樵(きこり)又は鷹(たか) 狩(かり)等の人多く これをはく 草履下駄(ぞうりけた) 是は雪の氷りたる日に 坂の上又は橋の上なと 小児此下駄をはき 辷(すべ)り戯れ遊ふなり もつとも寒気強き 日程よくすへるなり 一 ̄ト足に三四十間より 五六十間も走るなり 此下駄をつくる木も 雪車(そり)を作 ̄ル ヲノヲレ也 竹下駄(たけけた) 此竹下駄も草履 下駄の如く辷(すべ)る也 是は辷るに曲ること なくまつすくに はしるなり近年 多くこれを用ゆる といふ是等旅具 にあらざれとも雪 国のみの物故出_レ之  是によつて沓草鞋(くつわらじ)の類(るい)も雪国(せつこく)にて用ゆる品  を其所にて調(とゝの)ふへし前かとより用意有  ても其土地によつて用立ぬものなり   寒国ナテツキの事 一奥州越後の中或は二三里或は五六里が間(あひだ)両山(りやうざん)  峨(がく)々たる山道(さんだう)処々にあり冬年大雪にして春  二月 彼岸(ひがん)比に至而(いたりて)両山の雪 春暖(しゆんだん)に乗して  土際(つちきわ)を離(はなれ)んとする比(ころ)東風(とうふう)或は雷鳴(らいめい)地震(じしん)材木(ざいもく)  等の響(ひゞき)によつて両岸の積雪(せきせつ)一時(いちじ)に其(その)山道(さんだう)へ  こけ落るを鄙語(ひご)にナテツキといふ其折節は件(くだん)