翻刻
音(おと)をして歩行すへし又 石突(いしつき)有 杖(つえ)をつ
きてもよしさすれば悪獣(あくちう)逃去(にけさる)也又 夜道(よみち)は
火縄(ひなわ)松明(たひまつ)等を持て歩行せば其難なし又 牛(うし)の
糞(ふん)を草鞋(わらじ)のうらへぬり山道(やまみち)を行は悪獣并
蛇(へび)まむし毒虫(とくむし)等おそれ近付すといふ
一 五岳(ごかく)白沢(はくたく)の両図(りやうづ)を懐中(くわいちう)すれば旅中(りよちう)の災難(さいなん)を
免(まぬか)れ悪鬼(あくき)猛獣(もうぢう)近付ことあたはす
一 狐(きつね)狸(たぬき)の所意(しよい)とて忽(たちま)ち道(みち)を失(うしな)ひ或は昼(ひる)を夜(よる)と
なし或は川(かわ)なき所を川となし門(もん)なき所に門を
鎖(とさす)の類(るい)其外 種々(しゆじゆ)様々(さま〳〵)の奇怪(きくわい)をなすことあら
ば先(まつ)心を落着(おちつけ)てたばこを呑(のむ)歟(か)休(やす)む歟(か)して
元(もと)来(きた)る道(みち)を考見るべし其上に分らぬならば
もとの道(みち)を立戻り人家(じんか)へ立寄(たちより)様子(やうす)を承る
べし如_レ此すれば狐狸(こり)も譇(たばか)ることあたはざる也
都而(すへて)心を落着(おちつく)るといふこと道中(だうちう)のみにかき
らす万事(ばんじ)に付て肝要(かんよう)の事なり
船中用心之事
一 船(ふね)に乗(のり)たるならは先(まつ)船中(せんちう)の諸道具(しよだうく)板子(いたこ)竿(さほ)
の類(るい)有所を見 定置(さためおく)べき也 若(もし)大風雨或は早(はや)
風(て)等にて船くつかへらんとする時其板歟竿の