翻刻
○道中にて草臥(くたひれ)を直(なを)す秘伝(ひでん)并 奇方(めいほう)
一道中 茶屋(ちやや)にて休(やす)む節(せつ)草鞋(わらじ)のまゝにて足(あし)を
下(さげ)腰懸(こしかく)べからず其時は少(すこ) ̄シの間にても草鞋(わらじ)
をぬぎ上(うへ)へあかり急度(きつと)かしこまり休(やす)むべし
草臥(くたびれ)直(なを)ること妙なり
一 旅(たび)なれぬ人くたひれ又は足(あし)へまめを踏(ふみ)出(いた)すはみな
草鞋(わらじ)のはきやう麁相(そさう)なるゆへ也 能(よき)草鞋(わらじ)を調(とゝの)へ
てよく打(うち)はく時も不(いそか)_レ急(ず)のびつまりなきやうに
はくべし又 足(あし)乾(かわ)き熱(ねつ)する故に痛(いた)みもし
まめも出来(でき)るなり因而(よつて)折々 草鞋(わらじ)を解(とき)足(あし)
の熱(ねつ)をさまし急度(きつと)かしこまり休むべし
一 草臥(くたびれ)足痛(そくつう)する時は宿(やと)へ着(つき)風呂(ふろ)へ入て後(のち)塩(しほ)を調(とゝの)
へ足(あし)のうらへしたゝかになすり付火にてあふる
へし妙なり
一 至極(しこく)草臥(くたびれ)たる時は風呂へ入て後(のち)焼酎(しやうちう)を足(あし)の
三里(さんり)より下 足(あし)のうら迄 吹付(ふきつく)べし手にてぬり
てはきかぬなり
一 遠路(とをみち)をして 足(あし)のつち(心)ふまず腫(はれ)痛(いたむ)には蚯蚓(みゝづ)を泥(どろ)
のまゝすりつふしぬりてよし
一草臥(くたびれ)たる時 足(あし)の三里(さんり)承山(ぜうさん)通谷(つうこく)の三 ̄ケ所 灸(きう)すべし