翻刻
○道中(たうち)所持(しよじ)すへき薬(くすり)の事
一 熊胆(くまのゐ) 奇応丸(きをうくわん) 返魂丹(はんこんたん)
已上三方は積又は腹痛食傷霍乱によし此外はらあひの薬
いろ〳〵あれとも此三方にてたるべし
一 五苓散(ごれいさん) 胡椒(こせう)
水かわり又は夏人々かわきて水をのむに用ひてよし
一 延齢丹(えんれいたん) 蘇香円(そかうゑん) 気付によし
一 三黄湯(さんわうたう)
是は道中は人々のぼせるものゆへ大便けつしやすし其節
ふり出し用ゆべし
一 切(きり)もくさ しめらぬやうにして貯ふべし
一 備急円(ひきうゑん)
大食傷にて吐(はき)も瀉(くた)しもせざる時に用ゆる為なり然とも大方は先つ
熊のゐ奇応丸返魂丹にて吐瀉あるもの也
一 油薬(あふらくすり) 白竜膏(はくりうかう) 梅花香(ばいくわかう)
此外近頃流布する朝川の桂花香(けいくわかう)なとよし切疵腫物毒虫
のさしたるによし
右の外は面々(めん〳〵)のあひ薬(くすり)有ものなれば勝手(かつて)次
第(したい)たる
べし又道中にては薬種屋(やくしゆや)にて調ふれば大概(たいかい)急用(きうよう)
はたるべし
○道中(たうちう)所持(しよじ)すべき品(しな)の事
一 矢立(やたて) 扇子(あふき) 糸(いと)針(はり) 懐中(くわゐちう)鏡(かゝみ)