翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

旅行用心集 - 翻刻

旅行用心集 - ページ 5

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よりも羨敷(うらやましき)もの也其外 勤務(きんむ)【左ルビ「つとめ」】渡世(とせい)の事にて 年毎(としこと)に四方(しほう)の国々へ旅立するは老若(らうにやく)ともに 気(き)のはりありて是程(これほと)いさましき物はなし 東国(たうこく)の人は伊勢(いせ)より大和(やまと)京大坂四国 九州(きうしう) 迄も名所旧跡(めいしよきうせき)神社仏閣(じんしやぶつかく)を見回(みめぐ)り西国(さいこく)の 人は伊勢より江戸 鹿島(かしま)香取(かとり)日光奥州 松島(まつしま)象潟(きさかた)信州(しんしう)善光寺(ぜんかうじ)迄も拝(おが)み回(めぐ)らんことを 願ふなりされば家内 息災(そくさい)にて家業(かきやう)繁栄(はんえい)の 徒(と)主人(しゆじん)は勿論(もちろん)家来 眷属(はんぞく)に至(いたる)迄伊勢参 宮の願(ねかひ)は成就(じやうじゆ)する事のならわしは我 神国(しんこく)の有かたきことならずや抑(そも〳〵)士農工商(しのふこうしやう) の徒(と)日々其家業を正直にして専(もつは)ら勤(つとめ) 怠(をこた)らされば一日として乏(とほし)きことなく生涯(せうがい) 安穏(あんのん)に暮(くら)し楽(たのし)む事 偏(ひとへ)に神仏(しんぶつ)の教(おしへ)を 守(まもる)の感応(かんをふ)なるべし然とも其中(そのなか)に富貴(ふうき) の人にても生得(せうとく)病身(ひやうしん)にて心にのみやたけに 思ふとも自(みつか)ら旅行し珍敷(めつらしき)勝景(けしき)を見て 山坂(やまさか)を歩行(あゆみ)大山(たいさん)霊場(れいじやう)に登(のぼ)ることあたはず