翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

旅行用心集 - 翻刻

旅行用心集 - ページ 69

ページ: 69

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 中に岩(いは)の円(まどか)に少(すこ)しくほみたる所より湧(わき)出る也此湯  眼病(かんびやう)を治(じ)す又 猿湯(さるゆ)とて山岸(やまきし)の滝(たき)の脇(わき)にありこの  滝を猿湯が滝といふ又此湯本迄の道路(どうろ)は大なる山坂  なり其下を件(くたん)の湯川(ゆかわ)流(なかれ)て大滝処々にあり其  中にも伏見(ふしみ)が滝とて雌雄(しゆう)の名瀑布(めいたき)二 ̄ツあり此滝  の上なる山の腰(こし)に湯宿二三軒あり是を滝の湯と  いふ此湯もまた至極(しごく)清浄にして諸病に効あり  且此地の山水(さんすい)勝景画(せうけいぐわ)にも企(くわだて)及ふべからず 一同国若松より北西へ七里余にして熱塩村(あつしほむら)に温  泉あり此湯山中にして甚(はなはた)塩気(しほけ)あり因而(よつて)俗(ぞく)に  熱塩(あつしほ)といふ又同所に鍵(かき)の湯(ゆ)とて錠(じやう)をおろし置  湯(ゆ)あり是(これ)は漫(みだり)に雑人(ぞうにん)をいれず湯宿へ乞(こ)ふて鍵(かき)  をかりて入也此湯諸病に効あり又此所の寺を  慈眼寺(じげんじ)といふ源翁(けんのう)和尚(おしやう)の開基(かいき)也 因而(よつて)慈眼寺  の湯ともいふ 一同若松より東北に八九里にして猪苗代(ゐなわしろ)といふ所に  磐梯山(ばんだいさん)といふ高山(かうざん)有比山中に温泉多し是を  地獄湯(ぢごくゆ)といふ夏日(かじつ)に至りて雪(ゆき)の消(きゆ)るを待て人々  湯治(たうじ)す此 湯場(ゆば)は人家なし因而(よつて)其折(そのをり)は湯宿  ともに年々(とし〳〵)新(あらた)に大 小屋(こや)を補理(しつらひ)て貸(かす)也湯治する