翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

華夷九年録 - 翻刻

華夷九年録 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

共に打涙ぐみとふりかなとぞ申ける此事老 母ゟ主人にかたりけるにやある日主人我を召 き汝日本に帰度やと申ける我申に而日の本 にては貧敷暮しける者也斯不便を加へ仕へ 給へハ少もろうなく思ひ侍らずなれ共国元 にはふた二親有り我壱人の子にして明暮悲し まん事を思ふ一ト度父母に逢ひかゝる 目出度国に落付し由をかたり長崎と いふ所ゟ毎年船の便りも有り又来り て奉公申度由を申けれハ主人か申にハ汝は 近き国とばし思ふや是ゟ日本数千里の国 や帰りて二タ度来るべからず我汝を金銭 三拾文《割書:壱文に|銀拾文》に買得たり一生ゆるすべか らず去りなから父母をしたい悲しむ由道 理なれハ能便りもあらバ求得て本国に 帰すべしとぞ申けるこわ在難き仕 合と東の方を神拝し嬉し涙ぞと拝礼 ける夫より明日や舟便り今日や船の来ル