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将軍(しやうぐん)に任(にん)じ。百済王(くだらわう)俊哲(しゆんてつ)。藤原真鷲(ふぢはらのまわし)。坂上田村麻呂(さかのうへたむらまる)三人を副将軍(ふくせうぐん)と定(さだ)め給ひ
宦軍(くわんぐん)一万二千 騎(ぎ)を授(さづ)け急(いそ)ぎ奥州(おうしう)へ馳(はせ)下(くだ)り兇徒(けうと)を不日(ふじつ)に誅伐(ちうばつ)すべしとの宣命(せんじ)
を下され。猶(なを)また東海(とうかい)東山(とうさん)両道(りようどう)の国司(こくし)守護人(しゆごにん)へ。軍兵(ぐんびやう)を出(いだ)して東使(とうし)に加勢(かせい)す
べき旨(むね)を命(めい)じ給ひけり。大伴弟麻呂(おほともおとまろ)。俊哲(しゆんてつ)。真鷲(まわし)。田村丸(たむらまる)の四将(しせう)勅命(ちよくめい)を奉(うけたま)はりて
軍装(ぐんそう)美々(び〳〵)しく整(とゝの)へ。都(みやこ)を進発(しんばつ)して奥州(おうしう)へ揉(もみ)にもんでぞ下(くだ)りける
《振り仮名:感_二霊夢_一大養得_二奇子_一|れいむをかんじておほかいきしをうる》 坂上田村丸(さかのうへたむらまる)《振り仮名:遇_二延鎮_一|えんちんにあふ》条
抑(そも〳〵)今度(こんど)東夷(とうい)征伐(せいばつ)の副将軍(ふくせうぐん)に任(にん)ぜられたる中(うち)の一人 坂上田村丸(さかのうへたむらまる)といへるは。従三位(じふさんみ)右(ゑ)
衛門督(もんのかみ)坂上苅田丸(さかのうへかりたまる)の嫡男(ちやくなん)正四位上(せうしゐのぜう)大養(おほかひ)の子(こ)なり。大養(おほかい)年(とし)四 旬(じゆん)を超(こゆ)るまで一
子(し)なきを歎(なげ)き。夫婦(ふうふ)初瀬(はせ)の観音(くわんおん)に祈誓(きせい)をかけ七日(なぬか)参籠(さんろう)して。万望(なにとぞ)一子(いつし)を授(さづけ)
給へと信心(しん〴〵)を凝(こら)して祈(いの)りけるに。便生(べんせう)端正(たんせう)福徳(ふくとく)智恵(ちゑ)之男(しなん)の誓願(せいぐわん)空(むな)しからず
七日(なぬか)満(まん)ずる夜(よ)の暁(あかつき)の夢(ゆめ)に金甲(こがねのよろひ)を着(ちやく)し戟(ほこ)を携(たづさ)へし神人(しんじん)出現(しゆつげん)し大養(おほかい)の妻(つま)の