Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

- 翻刻

 - ページ 129

ページ: 129

翻刻

別(わかれ)を告(つげ)て立帰(たちかへ)り。出陣(しゆつぢん)も用意(ようい)を整(とゝの)へ諸大将(しよだいせう)とともに東国(とうごく)へぞ下(くだ)られける      宦軍(くわんぐん)《振り仮名:与_二夷賊_一于奥州合戦|いぞくとおうしうにかつせんす》  田村丸(たむらまる)武勇(ぶゆう)《振り仮名:討_二大熊丸_一|おほくまゝるうつ》条 去程(さるほど)に征東大使(せいとうたいし)大伴弟麻呂(おほとものおとまろ)。副将軍(ふくせうぐん)百済王(くだらわう)俊哲(しゆんてつ)。藤原真鷲(ふぢはらのまわし)。坂上田村(さかのうへたむら) 麻呂(まろ)等(とう)奥州(おうしう)を望(のぞ)んで下向(げかう)せられけるに。東海(とうかい)東山(とうせん)両道(りようどう)の軍勢(ぐんぜい)追々(おひ〳〵)に馳(はせ)加(くは)はり 陸奥(むつの)国府(こくふ)へ着到(ちやくとう)せらるゝ頃(ころ)は三万 余騎(よき)に及(および)ければ。諸大将(しよだいせう)大いに勇(いさ)み。要害(ようがい)の 地(ち)に数個所(すかしよ)の陣営(ぢんえい)を構(かま)へ逆茂木(さかもぎ)を植(うえ)兵糧(ひやうらう)を運(はこ)ばせ。今度(このたび)こそ夷賊(いぞく)の根(ね) を断(たち)葉(は)を枯(からさ)んととり〴〵に軍議(ぐんぎ)をなし攻伐(かうばつ)の準(よう)【准】備(い)を急(いそ)がれける。時(とき)に射賊(いぞく)の首(かし) 領(ら)大熊丸(おほくまゝる)は去年の軍(いくさ)に打勝(うちかつ)てより。宦軍(くわんぐん)恐(おそ)るゝに不足(たらず)と慢(あなど)り軽(かろ)んじ。己(おの)が一時(いちじ)の 虎威(こい)を恃(たの)【特は誤記】みて州郡(しうぐん)を犯(おか)し掠(かす)め。驕奢(けうしや)を恣(ほしいまゝ)にし淫酒(いんしゆ)に長(てう)じて。傍若無人(ばうじやくぶにん)に挙止(ふるまひ) けるに。又 蝦夷(ゑぞ)の島夷(しまゑびす)の巨魁(かしら)に高麻呂(たかまろ)。悪路王(あくろわう)といふ曲者(くせもの)二人ありて。幕下(ばつか)に属(ぞく) する夷賊(いぞく)一万 余人(よにん)を従(したが)へ是(これ)も奥州(おうしう)へ乱入(らんにふ)して郡県(ぐんけん)を刧(おびやか)し掠(かす)め。大熊丸(おほぐままる)と一 手(て)